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○第36話○

「っ、ふっ……」 緩く動かしたり少しだけ強く握ったり。じわじわと追い詰めていくようにそれを弄る。 「ちゃんと、僕をみて」 快感を抑えつけようと瞑られている彼の目を、下に触れていないほうの手で開いた。千秋ちゃんの世界の中に、少しでも長くとどまっていたくて。 「やっ!」 少し手を速く動かせば、短く聞こえた甘い声。しまったという表情のあと、彼は慌てて口を引き結ぶ。 「抑えないで」 そう言えば、彼は子供みたいに首を横に振ることで拒否を示した。 千秋ちゃんの動作1つ1つが、まるで媚薬のように僕の温度を高めていく。嬌声1つで、自分のが硬度を持っていくのを感じた。 「千秋ちゃんの声、もっと聞かせて?」 そう言って、より手の動きを速める。 声を抑える余裕なんてないくらい、感じてもらえるように。 「あっ!やめっ……!」 そうすれば無意識なのか、彼は唯一自由な足を絡み合わせた。絶頂が近いのだと見て取れる。あと一押しだと、少しだけ力を強くいれた。 「やっ、あ……あぁっーー!」 一際大きな声があがり、彼の身体が脱力する。勢いよく飛び出した白い液体は手で受け止め、その手をそのままゆっくりと持ち上げた。 「たく、み……?」 力の抜け切った虚ろな目で、彼は僕の動作を見つめる。僕が口を開いたところで、ようやくその意味に気付いたみたいだった。 「ちょっ、なに考えて……!」 驚く彼に笑いかけて、ゆっくりとそれを舐めとる。 千秋ちゃんのが僕のナカに入っていく様を見せつけるように。ゴクッ、とわざと大きな音を立ててそれを飲み込んだ。 「バカ!何飲んでんだよ!吐き出せ!!」 「……どうして?」 やっと千秋ちゃんの一部を得られたのに。 少し粘ついたそれが、身体中に行き渡っていく想像をする。未来彼になる可能性のあったそれを、今自分の中で殺していっているのだ。そう思うと、ひどく歪んだ満足感が湧き上がってくる。 「汚いだろ!?」 「千秋ちゃんのなら、平気」 だから、もっとちょーだい? 声は聞こえてこないのに、心が「もっともっと」と際限なく彼を求める。 「は?やめっ、さすがにそれはダメだって!」 抗議の声なんてもう耳に入らなくて。彼のそれにゆっくりと顔を近付けて、まだ濡れている辺りを丁寧に舐め取っていった。

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