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第37話
「ひゃっ!?」
ありえない場所にヌルっとした何かが当たる。一度達したことで緩んでいた口元からは、変な声が飛び出した。
何が起こっているのか理解できない。
その光景を直視しまいとするのに、拓海の「ちゃんと、僕を見て」という声を思い出しては、目を開けてしまう。
だから当然、彼が僕のを舐めている姿も本当は目に入っているわけで。
「やっ、ほんとやめ…!」
今まで自分しか触れたことのないそこを触られるだけでもハードルが高いのに、ましてや舐められるなんて信じられない。
「ごめんね、やめられないから」
拓海がいったん口を離してそう言う。口元が濡れているのが何とも現実的で、その美しさは幻想的だった。彼のこんなに満たされたような笑みは、今まで見たことがない。
「それに、千秋ちゃんがゆるしたんでしょう?」
甘えるようで、有無を言わさない圧を孕んだ声。その声に、思わず従いたくなる。
……そうだ。これは僕だって望んだこと。
ずっと拓海と一緒にいたい。彼に必要とされていたい。彼の、特別でいたい。
そのために僕は、彼の願いを叶えたいと思ったんだ。
……大丈夫。今僕は確実に、彼にとって特別だ。
今までは色々考えていた。拓海がキスしてくるのだって、普通じゃないと一度は拒んだ。
でも、この部屋には僕らしかいない。それを咎める者も、非難する者もいない。
もし僕らを否定する人がいても、その人は拓海を救えやしないんだ。
だったら僕にとってどっちが正義かなんて、考えるまでもない。
「んっ、あっ……!」
再び僕のが生暖かいものに触れた。触れたかと思えば、包まれるに変わる。同時に、舐められるから吸われるに変わった。
「やっ、なにっ」
体内から何かが迫ってくる。
「あっ、あぁぁっーー!」
離れてと言うまもなく、快感が身体を駆け抜けた。一瞬視界が白んで、徐々に感覚が戻ってくる。
不味いに決まっているのに彼は美味しそうにそれを飲み込んで、うっそりと笑いながら言った。
「……千秋ちゃん、愛してる」
そんな彼を無意識に抱きしめようとして、手が動かせない状況にあると気付く。
「僕も」
だから僕は、代わりに彼の言葉に応えた。
「拓海が、好き……」
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