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第46話
そこまで言ってもポカンとする彼に、ずっと温めてきた言葉を伝えられるのは今しかないと思った。
「拓海、愛してる」
そう言って抱きしめれば、彼は小さな声で
「嘘だ……」と呟く。
嘘じゃないよという代わりに、もう一度抱きしめたまま「愛してる」と言った。
「でも、この前は」
「あの後いろいろ考えたんだ。そしたら、『愛してる』って言えない理由なんてないって分かった。
僕だってずっと拓海と一緒に居たいし、拓海の一番でありたい。これは、拓海の言う『愛してる』と同じでしょ?」
「でも、僕たちは男同士で……」
「今さら拓海がそれを言うの?大丈夫。そんなの周りにバレなきゃいいだけだよ」
「でも……」
「大丈夫だから。雰囲気に流されて言ってるわけじゃない。ただ、僕は拓海がずっと好きだったんだって自覚しただけ」
「ほん、とに……?」
「こんな嘘つかないよ」
そう言って顔を見合わせれば、彼は静かに泣いていた。僕は一筋流れたそれを指ですくって、その指に口付ける。涙特有の塩辛さが、口いっぱいに広がった。
「千秋ちゃん」
彼が僕の名前を呼ぶ。ふにゃりとした、気の抜けた笑みを浮かべながら。
「千秋ちゃん、千秋ちゃん」
彼がまた僕の名を呼ぶ。今まで宙に浮いていた彼の手を囲んで、今でさえ近かった距離がぐっと近くなった。
「……千秋ちゃん、愛してる」
とびきり甘い声で耳元で囁かれて、今度は彼と同じ言葉で返した。
「僕も、拓海を愛してる」
先週のやり取りをやり直すように紡がれた会話。確か先週はこの後ーー。
「約束、覚えてる?」
彼と約束をしたんだ。
「この前僕がしようとしてた続き、してもいい?」
そう言われ、約束の内容とともに先週の痴態も思い出す。顔が熱くなるのを感じながらも、拓海が言うならとコクリと頷いた。
ドサ、と音を立ててベッドに倒れこむ。
上には視界いっぱいの拓海の顔。
「……幸せ」
思わず、と言った様子でそう呟かれたのをきっかけに、拓海は僕の服を剥ぎ取っていく。
「千秋ちゃん、舐めて」
彼の指が口へと近付いてくる。なぜ、と疑問に感じつつも、彼の指の口内への侵入を許した。
最初は僕が舐めるだけだったのに、次第に彼の指が不規則に口内を駆け回るようになる。
ただ指を舐めているだけなのに、身体の温度が上がっていった。
やっと離された指は僕の唾液でドロドロになっていて。罪悪感と、妙な嬉しさが湧き上がる。
「千秋ちゃんの全部、僕に頂戴?」
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