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○第48話○

「足開いて」 と言えば、素直に従おうとする彼が足をパタパタさせる。そういえばズボンが途中で止まったままだったと気付いて全部取り払ってやれば、ゆっくりと彼の前にスペースができた。 横から正面へと場所を移動すると、さっきよりも距離が近くなったように感じる。 下で震えて、拳を握りながら耐える姿が愛しい。 痛いだろうに、簡単に僕を止めない優しさが愛しい。 「はっ……んっ……」 自分がそうしたかったのを、少しでも苦しさを紛らわせてあげる為だと言い訳して、目の前に現れた可愛い千秋ちゃんの象徴にそっと顔を近付ける。 「ダメ、やっ……!汚いからっ」 舌先が触れた瞬間、そう言って頭に置かれた手が押し返そうとしてくるけれど、それが理由ならやめてあげない。 だって千秋ちゃんは、千秋ちゃんであるだけですごく綺麗だ。 それを伝えようと、包み込むようにそれ全体を口に含む。 「ダメ、ダメだって……!」 先端をぐりぐりと押したり、裏筋に舌を這わせたり。思いつく限りの愛撫を続ければ、千秋ちゃんの声が余裕のないものに変わっていく。 「んんっ、やっ、もう……!」 口の中で質量を増していくそれに、絶頂が近いのだとわかって、全てを奪い尽くそうと先端を吸う。見上げれば彼はイヤイヤと子供みたいに首を振っていて、その慣れなさがたまらなく可愛いかった。 「やっ、あ、あぁぁっー!」 一際高く甘い声が響くのと同時に、口の中に千秋ちゃんの分身が流れ込む。ひどく幸せで、目を合わせながら見せつけるように飲み干せば、優しい千秋ちゃんは勢いよく目を逸らした。 「ごめ、止めれなくて……」 俯きがちにされた謝罪は見当違いで、どうしたら伝わるのかと思う。僕にとっては、千秋ちゃんから与えられるもの全てが幸福となるのに。 価値観の溝は埋まらない。 もしかしたら、「愛してる」の度合いも違うのかもしれない。 それでいい、受け取ってもらえるだけで。 千秋ちゃんに、押し付けはしたくない。 そう思うのに、それと同じくらい境界線が消えればいいのにと願う。溶けて、1つになって、思考が共有できたなら。罪悪感やルールには蓋をして、思うままに求め合えたなら。 そんなどうしようもない願いを込めて後ろを弄り続けた指は、いつしか1本呑み込まれていて。泣いてしまいそうなほどの幸福が、心に広がった。

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