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第4話

 月野の言う通り、モデルの仕事はきつかった。  ポーズ一つ、表情一つにさんざんチェックが入るし、笑顔にしても、「もっと自然に」 「少し愁いを含んで」とか言われ、単に笑っている顔ではオーケイは出ない。  上下関係や礼儀にも厳しい。撮影の待ち時間も多く、拘束時間も長い。  学校がある日は放課後、撮影現場に直行。休みの日もほとんどモデルの仕事でつぶれてしまう。  ひなたはへとへとになった。  それでも音をあげなかったのは、ひなたの撮影には、いつも月野が付き添っていたからだ。負けたくなかった。それみたことかと言われたくなかった。  だが、月野がいてくれて助かっているのも確かだ。  他のモデルとは別に着替えることができるように配慮してくれたり、水着の撮影は避けるようにスタッフに言ってくれたのも月野だった。  それに加えて、早朝の撮影のときは月野が迎えに来てくれ、夜遅くまで撮影が長引いたときには、アパートまで送ってくれた。  ……正直言って、慣れないモデルの仕事で毎日疲労気味のひなたにとって、送迎は本当にありがたかった。  しかし、月野はどうしてこんなに、ひなたによくしてくれるのだろう?  不思議に思ったひなたは、彼に聞いてみた。 「どうして色々配慮してくれたり、送迎してくれるんですか?」  月野は端整な顔にいつもの不敵な笑みを浮かべて、 「おまえが男だとばれてのリタイアなんて、つまらないからだ。送迎はまあ、オレの情けか な。寝不足で目の下にくまなんか作ってたら、スタッフにも迷惑がかかるしな」  そんな憎たらしいことを言ってきた。

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