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第11話
そして、もう一つひなたの中で変わっていった感情がある。
それは月野への思いだった。
初めの頃は反発だけがあった。モデルの仕事をやり遂げて見返してやるんだと。
だが、その気持ちはやがて信頼に変わっていく。
一見冷たくて、ひなたに対しても突き放したような態度をとる月野だが、本当はとても優しく、いつもひなたを見守ってくれていることが分かってきたのだ。
いつだったか、ひなたが倒れたときもすごく心配してくれたし、男が女の子のふりをしてモデルを続けるという、想像以上に大変なことのサポートもしてくれている。
彼がいなかったら、ひなたはとっくに音をあげて、モデルの仕事を投げ出していただろう。
気づけば、ひなたは月野に対して恋愛感情を持っていた。
彼といると感じるときめき、切なさ、幸せ……。
ずっと月野と一緒にいたい。夜、別れるときは胸が苦しくなるくらいの寂しさに襲われる。
最初は自分でも信じられなかった。
だって月野は同性である。だからそんなはずはないと、自分に言い聞かせ、気持ちをごまかしていた。
でも恋心というのは抑えようとして抑えられるものではないと、ひなたは初めて知った。
ひなたも高校二年の男子だ。今までいいな、と思った女の子も何人かいる。
でもそれらは皆、恋に恋していただけだと、月野を好きになってから気づいた。
恋愛というのは淡くふわふわしたものではなく、ときに苦しいほどの切なさを伴うものだと分かったのだ。
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