14 / 55

第14話

「おまえには強いオーラがあるからだよ。この世界で成功するために絶対必要な。それをみんな分かっていたから、黙っておまえを優勝させた。オレがあの日、おまえに声をかけたのも、他の事務所のやつらにかっさらわれないようにするためだ」 「月野さん……」 「あまり期待しないで行ったオーディションだったんだ。規模も小さいし、そうそうスター性のある人間には出会えないしな。実際、芸能事務所で審査員だったのはオレだけだったし。でもおまえを一目見たとき、オレは自分の幸運に感謝したよ。絶対おまえが欲しいって思った」  切れ長の瞳で見つめられ、そんなことを言われて、ひなたは思わず真っ赤になってしまった。  なんだか愛の告白を受けてるみたいで、切なくなっちゃうよ……月野さん……。 「オレはオーディションの日、社長に願い出たんだ。朝比奈ひなたを育ててみたいって。だからオレを、ひなたの専属マネージャーにしてくれって」 「えっ……」 「今までもずっとオレはおまえのマネージャーだったんだよ。それはこれからも変わらない。オレはおまえの傍にいるよ」 「月野さん……、本当に?」 「ああ」 「良かった……」  ひなたの心に安堵とうれしさが込み上げる。 「そうとばかりは言ってられないぞ。これからは多分、モデルをしていた頃より忙しくなると思うから、覚悟しておけよ」 「え?」 「演技のレッスンを受けてもらうことに決まったからな」  いきなりそんなふうに言われて、ひなたはまたもやきょとんとしてしまった。 「役者になりたいんだろ?」 「あ……!」  憶えていてくれたんだ、月野さん、オレが言ったこと……。

ともだちにシェアしよう!