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第17話
ワインは口当たりが良くておいしかった。
一口飲んで気が大きくなったひなたは、グラスに持っていたワインを一気に全部飲み干した。
……あれ? これってもしかして、か、間接キスじゃない!?
そう気づいて胸が高鳴った次の瞬間、ひなたの顔がボッと火がついたように熱くなった。
うわー、なにこれー。顔とおなかの中が熱いー。
真っ直ぐ座っていられないくらいに、頭がクラクラした。
でも気分は悪くない……というか、なんだか楽しい。
そこへ月野が戻ってきた。
「悪い、社長からだった。ひな……ひなた!?」
「あー。月野さん、おかえりなさいー」
ひなたはグラグラと揺れながら、月野にヒラヒラと手を振った。
「ちょっ……おまえ、どうしたんだ?」
「あー、月野さんが慌ててるー」
ひなたはケラケラと笑った。月野は自分のワイングラスが空になっているのに気付いたようで、
「おまえ、ワイン飲んだのか……?」
呆れたように呟く。
「ちょっとだけだよ。いいでしょ。今日はオレが事務所に入った記念の日なんだからー」
「……まったく。まだ十七のくせに。おまけにぐでんぐでんじゃないか」
「酔ってませーん。それよりさ、月野さん、電話誰からだったのー? ねー」
「電話は社長からだと言っただろ」
「嘘だっ!」
「……だめだな。完全にできあがってるな、おまえ。ほら水飲んで」
月野はウエイターに持って来させたコップの水をひなたに差し出す。
喉が渇いていたひなたは水を飲み干したが、クラクラする頭は相変わらずで、ふわふわした気持ちも変わらない。
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