18 / 55
第18話
「……とにかくひなた、今夜はもうお開きだ。帰るぞ」
「えー、まだ帰りたくなーい」
なんだか今夜は月野さんにすごくわがままを言いまくりたい気分。
酔いって、なんだかすごい。
自分が何を言ってるのか、どんなわがままを言ってるのか、自覚しながらも、別にいいじゃんーって気持ちが大きくなるっていうか、素直になれるっていうか……。
「だめだ。帰るぞ」
「えー」
月野は強引にひなたの腕をつかんで立たせると、肩を抱くようにして支えてくれた。
前後不覚になっているわけではないので、恋人同士のような体勢に、ひなたの胸の鼓動が痛いくらい速くなる。
オレがドキドキしてるの、月野さんにも分かってしまいそう……。
「おい、ひなた。タクシー乗るまでは寝るなよ」
「うん……」
月野さん、いい匂いがする。男性用の香水かな……?
酔った頭でぼんやりと思う。
背は高いし、顔は文句なしのイケメンだし、月野さんこそモデルみたいだよね。
月野がカードで支払いを済ませると、ひなたは半ば彼に抱きかかえられるようにしてタクシー乗り場まで歩いて行った。
ちょうどとまっていたタクシーの後部座席に二人して乗り込む。
ともだちにシェアしよう!