24 / 55
第24話
オレも月野さんと同じくらいの年齢で、奥さんよりも早く月野さんと出会っていたら、もしかしたら男のオレでも、数パーセントくらいは希望があった?
……ううん。結局は玉砕していただろう。
でも少なくとも好きという思いを伝えることはできた。
「人の心って、どんどん欲張りになっちゃうんだな……」
ひなたはポツンと呟いた。
少し前までは傍に入れるだけでいいって思っていたのに。
今はオレの気持ちを月野さんに知って欲しいって思ってる。
恋心は育ち続けるばかりで終わりがなくて、ひなたはもうどうしようもなく月野が好きで、好きで……切なくて。
彼が出て行ったばかりのドアを見つめて、ひなたは叶わない思いと激しい恋心を涙にして溢れさせた。
ともだちにシェアしよう!