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第91話
「それだけちゃんとお前を見てるってこと」
「!」
凄いなぁ、黒木さん。
俺が欲しい言葉を、思ってる事を、何でも分かってしまう。
「綺月のお母さんにだって言っただろ?辛かった分幸せにするって。
綺月は俺といるの、嫌?」
俺は全力で顔を横に振った。
「そ、そんなっ!そんなんじゃなくて、俺はただ……」
「ふふ、嘘だよ。ちゃんと分かってるから」
「………俺、ちゃんとしたもの、あげられてないし…黒木さんの役に立てること、してない」
「そうかな〜?正月とクリスマスに綺月を貰ったけど俺は超絶嬉しかったよ」
「あぁああれは忘れてください!!」
まさかあのネタを掘り出されるとは。
いやあれは眠気が故に口走ってしまっただけなんだ。絶対にそう。
でも、何か形として残るものとかを渡したい。誕生日でもなんでもいい、欲しいものがあるのならそれを叶えてあげたいのだ。
「う〜ん別にそんな物欲無いしなぁ〜」
「うぅ…」
「俺は綺月が幸せならそれが嬉しいし、欲張って言うならずっと俺の隣にいて欲しい」
「っ」
不意打ちのプロポーズともとれる告白に頬が朱色に染まる。
いや俺だってできることならずっと一緒にいたい。
でもやっぱり、“もしも”の未来を考えると不安になるものだ。
「う〜ん、じゃあとりあえず俺がしたい事とかでいい?」
「!はい」
「じゃあ、一緒に風呂入ろっか」
「………………へ?」
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