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第97話
「はぁ……はぁ……っ、」
暑い。流石に真夏の雲ひとつない炎天夏の中での体育はキツかった。
半袖の中に薄手とはいえアンダーシャツを着ているのだ、水分補給にもっと気を使うべきだった。
頭がクラクラする。明らかな熱中症だ。
早く教室に戻らなきゃ、いや、この場合保健室だろうか。
壁伝いに歩くも、視界がどうにもぼやけてどこを歩いてるのか分からなくなってきた。
その場にへたり込み、壁にもたれる。
もうすぐ授業が始まる。人通りの少ない廊下だ、きっと誰も来ない。
「だれ、か……」
「あの、」
声が、聴こえる。聴いたことの無い、誰かの声。
ゆっくりと、視線を上に上げる。誰かがそこにいる。
助けて。
その言葉は声にならず、意識は途絶えた。
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