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第5話
家の裏側に物音を立てないようこっそり移動する。
後ろにある扉から家を抜け出し、走った。
目的がある訳でもないけど、ただ逃げたくてひたすら走る。
涙が出そうで、胸が苦しくて辛い。
なんで、なんで俺ばっかり。
必死に耐えて、必死に逃げて。
それでも、誰にも助けてもらえなくて。
俺はどうしたらいいの。誰に助けを求めたらいいの。
今警察に言っても信じてもらえない。
この痣を見せれるほどの勇気もない。
(先生……)
ふと、頭の中に浮かんだ先生の顔。
先生なら助けてくれるかもしれないと、思ってしまって。
(いや、駄目だ。先生には迷惑をかけられない)
これ以上、先生に期待を寄せてしまうと耐えられなくなってしまう。
気持ちに留めるので精一杯の気持ちが、溢れ出てしまう。
「はぁ………はぁっ………」
とにかく、ATMに行って金を降ろさないと。
とりあえずコンビニに行こう。
お金を降ろして、そしたらどこかホテルに行こう。
何日か泊まって、バイトして。
そしたら学校にでも泊まろう。
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