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第11話

「あと、俺あんまり料理出来ないからカップラーメンになっちゃうけど大丈夫?」 「……冷蔵庫に、何かありますか」 「あー、卵とかなんか色々入ってるよ」 「俺、何か作ります」 幸い自分でご飯は作っていたので料理は一通り出来る。 泊めてもらうのだからせめて料理ぐらいはしたい。 「す、凄い……久しぶりにあったかいご飯を見た」 「そんなにたいしたものは作れませんけど、口に合えば……」 一応ご飯はあって冷蔵庫には卵、味噌、キャベツにもやし。 卵焼きを作り、味噌汁にキャベツともやしを入れる。 朝ご飯みたいになってしまったが、作れるものは作れた。 「頂きます。………ん!美味しい!!」 「良かった…味薄くないですか?」 「全然、この位が丁度良くて好き。もう嫁に来て欲しい 」 「よ、嫁っ……?」 予想しなかった言葉に固まってしまう。 いやいや、冗談なのは分かってる、分かってるけど。 「毎日こんな美味しいご飯食べられるなら俺もう怒られたっていいや……」 「それは駄目でしょう…」 「あ、先にお風呂入っちゃっていいよ。俺少しだけ仕事するから」 「分かりました」 本来なら体験できない事を、今だけの幸せだと思って噛み締める。 好きな人とお話して、ご飯を食べて。 案外、普通のことが俺にとっては凄く特別になってる。

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