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第12話
着替えを持って脱衣場に入り、服を脱ぐ。
洗濯などはどうしたらいいのだろうか?
とりあえず、畳んで置いておく事にした。ずっとここに置いてもらう訳では無いから。
浴室に入り、シャワーを浴びた。
ふと、視線を前に上げると大きな鏡があった。
鏡には俺が写っている。
醜い身体をした、貧相で可哀想な俺。
いくつもの打撲痕、青痣、煙草を押し付けられた痕。
どれも変色して、治ったとしてもまたすぐに暴力されて治らない。
(汚いなぁ)
本当、先生とは釣り合わない。幸せな人生を送っている先生と俺では天と地の差だ。
俺は日陰で生きなきゃ。いや、生きれるか分からないけど。
父さんに見つからないうちに、どこか安全な場所を探そう。
先生にまで被害が及ばないうちに。
その時。
「月山君、大丈夫?」
扉が開くなんて思わなくて、一瞬遅れてしまった。
「っ、だ、大丈夫です!」
まずい、まずい。先生に見える、見えてしまう。
痣を見られたくない、必死に身体の痣を腕で隠す。
周りは湯気でいっぱいになっていたが、うっすらと先生は見えるから目を凝らせば痣も見えるかもしれない。
「そう?ここにタオル置いておくからね」
「は、い」
そう言って先生は、扉を閉めた。
心臓がバクバクと音を立てて動く。張りつめていた息を吐いて、ズルズルとその場に座り込む。
いつか、先生に軽蔑される日が来てしまうのではないか。
そう思う度、温かった身体は冷たく感じる。
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