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第13話

風呂から上がり、着替えて風呂場を出る。 基本家の中でも長袖を着ているけど、夏場は薄めの長袖を着る。 もちろん、傷を隠すため。 「お風呂ありがとうございます」 「あ、おかえり。夏なのに長袖暑くない?」 「これくらいが、丁度いいんで……」 「?そっか、じゃあ俺も入ってくるから」 俺の頭を撫でると、部屋着を持って風呂場へを向かっていった。 (先生は撫でるのが好きなのかな) よく俺の頭を撫でているが、何か楽しいのだろうか。 先生がさっきまで座っていたソファに座り、横になる。 タオルからも先生の匂いがして、安心する。 こんなにも幸せでいいのだろうか。 ほんとだったらこんなとこいちゃいけないのに。 くぁ、と欠伸が漏れた。色々あったし、なんか安心して睡魔が襲ってきたみたいだ。 勝手に寝ちゃいけない気がする。 でも、欲求には勝てないかも。 「せん、せ………」 少しだけ、少しだけの仮眠と、目を閉じた。 夢を見た。何度も何度も殴られる、痛い夢。 顔、腹、腕を何度も何度も蹴られて殴られて、嘔吐する。 すると、あの同僚の人達が俺を囲んで服を脱がしてきた。 嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ 汚い、冷たい、痛い。 助けて、誰か俺を助けて。 そう思って伸ばした手、も父親に遮られて。 「お前には光なんて似合わない。一生日陰で生きるんだな」 首に手をかけられ、力を込められる。 力が入らない。抵抗する気力も無い。 もう、死にたい………… 「………、山、…………綺月!!」

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