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第19話

『夜どこにいた』 父親から送られてきたメール。その一言だけで俺は怖くなる。 授業中に来たけど俺はそれを見てしまった。 『友達の家にいた』 震える指で文章を打ち、送信する。 返信はなんてくるだろう。帰ってこい?今日は家にいろ? それは俺を殴る為? 色々な思考が頭の中を駆け巡り、授業なんてまともに聞いてられない。 『次からは連絡しろ』 (次からは、か……) 今日の所は家に帰ろうか。あ、でも服を入れたバックを持ってくるの忘れた。 先生の家にも行かなきゃ。でも、いつ帰ってくるんだろう。 冷静に。冷静でいろ、俺。 冷や汗が額を伝う。正直、このまま倒れてしまいたい。 「……じゃあこの問題を月山に、っておい、月山大丈夫か?顔色悪いぞ」 「っ、少し体調が優れないので……保健室、いいですか」 「あまり無理はするなよ、お前身体弱そうだからな」 先生から保健室利用の紙を書いてもらい、教室を出る。 ふらふらと廊下を歩き、階段を降りる途中でしゃがみ込んでしまう。 (何もかも止めたくなる) いっそ、どこかへ一人で逃げようか。知らない所に行って、そのままそこで心中してしまおうか。 そんな考えも、先生の笑顔がよぎっては砂のように消え去る。 「先生………」 立ち上がって、保健室へ向かう。一旦寝て、頭を冷やそう。 とりあえず今日は家に帰って、先生の家に服を取りに行って、それから……… それから、どうしようか。

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