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第21話
(……………痛い)
どうやら、気を失っていたようだ。起き上がろうとすると、身体が悲鳴を上げる。
外を見るともう日が落ち始めている。二、三時間ほど寝ていたのか。
「ぉ”え……」
抑えていた吐き気が込み上げ、急いでキッチンに駆けつける。
胃にあった食べ物、胃液全てを吐き出し胸をかきむしる。
何も無いのに、まだ吐きそうって思って口を開くけど出てくるのは胃液ばかり。
更に吐こうとすると殴り蹴られた腹が痛み辛い。
「っはぁ………はぁ、ぅぷ」
水で嘔吐物を流して、風呂へ向かう。覚束無い手でボタンを外し、シャツを脱いでインナーシャツを脱ぐ。
鏡に映るのは、更に増えた痣と酷い顔の俺。
「……先生に、会えないや」
今まで、先生の優しさに甘えてたけど。
やっぱり俺は先生に会ってはいけない。
こんな醜い俺が、あの人の幸せを壊しちゃいけないんだ。
「ははっ」
乾いた笑い声が、耳に響く。
今日で、終わりにする。先生に会うのも、甘えるのも。
先生の事好きって想うのも…………。
「………ぅ”、ぅうっ、ひぐ」
先生の事好きなのは、止めれない。
止めたいのに、止めれない。
先生の手の温もり、優しい声、全てが忘れられない。
今まで想い続けてたのが溢れ出たみたいに。
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