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第22話
(どうしよう)
月山に鍵を渡すのを忘れていた。一緒に出たもんだからつい。
学校にいる内に気づけて良かったがもう家に着いているだろうか。
多分道は覚えてるだろうしもしかしたら玄関で待っているかもしれない。
「一応電話をかけてみるか」
色々と言い訳をつけて担任からクラスの連絡線を見せてもらい、月山の番号にかける。
ワンコール、ツーコールと鳴るが出ない。
もう一度かけてみると、暫くして繋がった。
『…もしもし』
「月山か?お前今何処にいるんだ?」
『な、んで…先生、番号知って…』
「クラスの連絡線見せてもらったんだ。なんかまずかった?」
『………先生』
「ん?」
『泊めていただいてありがとうございました。
置いてきてしまったモノは処分していいので。
それでは』
「いやちょっと待て、いきなりどうした」
『先生には迷惑をかけました、もう、俺には構わないでください』
「いつ俺が迷惑だって言った、今どこにいるんだ?何があった」
『何もありません!お願いだから…俺を放っておいて……』
「月山………」
『これ以上先生に近づくと……おかしくなる……』
「………月山、お前今どこにいるんだ」
『………家です。だから、放っておい……』
「今から行くから。そこで待ってろ」
『!?』
「いいか、どこにも行くなよ」
『ちょ…』
ぐだぐだ言われる前に電話を切り、帰宅準備をする。
幸いにも仕事は全部片付いている。見回りも今日じゃない。
「すいません、先に失礼します」
さっきの月山の声を思い出す。
震えて、掠れかけた小さな声。今にも崩れてしまいそうな、悲しい声をしていた。
『これ以上先生に近づくと……おかしくなる……』
俺に近づくとおかしくなる?
どういう事だ?
(おかしいとこなんて一つも無かったが……)
とにかく、月山と会って話がしたい。
今、あいつを一人にはさせたくないんだ。
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