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第24話

「一応、親に連絡します…」 「分かった、玄関で待ってるから準備しておいで」 持っていくものなど無いが、学校のバックと着ていた制服を突っ込む。 連絡。父さんに、連絡しなきゃ。 「…………」 震える指で文字を打つ。返信が怖いけど、でも、ここで逃げなきゃ一生同じままな気がして。 送信ボタンを押して、息を吐く。 (きっと、同情だ) 先生はあぁ言ってくれたけど、俺が可哀想だから。 見捨てたら死んじゃうんじゃないかって、心配してるだけ。 俺の気持ちには気づかない、俺に想われる可哀想な先生。 「それじゃ、帰ろうか」 「……はい」 今だけ、今だけなんだ。 「先生は、嫌いな食べ物ありますか」 「俺ね〜人参とセロリ嫌い。あれ食べ物じゃないよ絶対」 「……なんか、子供っぽいですね」 「え、月山食べれんの!?嘘尊敬する……俺絶対食べられない」 「じゃあ今日は茹で人参とセロリの炒め物ですね」 「!?月山鬼畜!?」 笑いながら先生と並んで歩く。 あれ、最後に笑ったのはいつだったっけ。 人の笑った顔を見て幸せと思えたのは、何年ぶりだろう。 「ん?どうした」 「い、いいえ」 「もっと月山は笑った方がいいぞー、お前可愛いんだから」 え? 俺が、可愛い? 「………」 「あれ、嫌だったか?ごめ……」 先生が俯く俺の顔を覗き込む。今、先生の目にはどんな俺が写ってるのだろう。 可愛いなんて言われて、顔が真っ赤に染まった俺の顔はとても恥ずかしい。 (いや、今のは社交辞令だろ……なんで、なんで) にやけてしまいそうな頬を両手で抑え、必死に止めようとするけど止まらない。

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