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第25話

「月山はもっと笑った方がいいぞー、お前可愛いんだから」 男相手に言うのはあまり聞かないような台詞。だけど、自然と口から出てしまって。 その言葉に固まってしまった月山、もしかして嫌だったか? そう思って顔を覗き込んだら、予想外の反応をしていた。 林檎みたいに真っ赤に染まって、少しだけ嬉しそうにはにかんだ表情。 口角を元に戻そうとしているのか頬を両手でむにむにしてるけどなんか小動物みたい。 言ってしまった後に思ったけど、本当に可愛い。 媚を売ってくる女子よりかは初々しい反応で愛らしい。 「つ、月山?」 「あぁあんまり、こっち見ないでください……恥ずかしいんで」 「あー、そのごめんな、なんか」 なんとも言えない雰囲気になってしまって、こっちまで照れくさくなる。 可愛いって言われて、こんな反応するとは思わなかったのだ。 「も、もう買う食材は無いか?」 「多分、もう無いです」 「そうか、じゃあ会計してくるな」 「あっ俺お金……」 「いいよ、自分で持っておきな」 「でも…」 「ご飯作ってくれるだけでも充分だから。お金を払う代わりに俺のご飯作るって事で」 「………はい」 結構色々なものを買ったから袋がいっぱいになっていた。 身体が細いからやっぱり月山には重いらしい。少しだけよたついている。 俺が持つよ、と言うといいです、と意地を張る月山。 まるで小さい子がお手伝いをしてるみたい。 だから俺は一緒に持つ事にした。そうしたら、俺が半分持って月山が半分持つ事になるだろ? まだ暑い夏、陽射しに焼かれながら二人並んで帰る。 月山の白い首筋に一筋の汗が垂れていたのを見て、あぁ、色っぽいなぁと思った。

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