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第28話

「ひっ………!」 「おぉ〜」 テレビの内容は思っていたよりも恐怖映像が多かった。 脅かし表現が多く、遠くにいたものが唐突に近くにくるというのがとても心臓に悪い。 先生は普通にふーんとか言いながら見てて全然怖がらない。 (先生ホラー系普通なんだな………) 耳を塞いでいても悲鳴は聞こえるし目を瞑っていると心臓がドキドキしてつい開けてしまう。 「月山はホラーとか見るの?」 「い、いえ………テレビとかあんまり見なくて……ひっ!?」 「もしかして怖い?チャンネル変えようか」 「うぅ………お願い、しま………」 お願いします、と言いかけたその時、画面いっぱいに幽霊の顔が張り出された。 「ひぃ……っ!!」 「うわ、ちょっ………」 無我夢中で俺は先生にぎゅっと抱きついた。 怖い、何あれ白目剥いてた。めちゃくちゃ怖かった。 「ひっ、ぐ……、う、ぅうっ、」 「つ、月山?大丈夫か?」 あまりの恐怖に涙腺が崩壊して、ボロボロと涙を零す。 先生がテレビを消して背中をさすってくれるねど身体の震えは止まらない。 「やだ、やだやだっ……怖い、」 「大丈夫だから、幽霊なんて出やしないから、な?」 「いる、絶対いるっ……」 敬語も忘れて、子供のように駄々をこねる。優しくなんてされた事がないから、余計に求めてしまう。 「………月山、こっち向いて?」 「っ…ひぐ、ぅ………?」 頬を両手で包まれると、目尻を親指の腹で拭われる。 涙でぼやける先生の顔が、やけに近い。 いや、近づいてきてる。 その時、唇に温かい感触がした。

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