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第36話

「月山が怖がることはしない。それは約束するよ」 「はい……」 頬を緩く撫でられ、強ばっていた身体から少し力が抜ける。 何をされるのか全く想像出来てない。 (いやらしい事、かな) もしかしたら、父さんの同僚の人達みたいな事? だとしたら先生でも、少し恐怖がある。 「大丈夫だから、ちょっとだけでいいから、触らして?」 「………」 先生は優しいって信じてるから。信じて、首を縦に降った。 すると、先生は優しく微笑みまた顔を近づけてきた。 またキスされる、そう思ってぎゅっと目を瞑る。 「目ぇ閉じないで」 「や、」 「怖くないから、ね?」 「う……」 恐る恐る目を開き、先生を見つめる。 先生の顔を間近で見つめると俺が恥ずかしくなってくる。 「そう、いい子」 低く優しい声で囁くと、俺の唇を塞いだ。 ちゅっ、ちゅ、と何度もリップ音をたてながら吸い付く。 でも、息が出来なくてすぐにリタイアしてしまう。 「ぷはっ、はぁ………は、ふ」 「……もしかして、キスした事ない?」 「……」 「そういう時は鼻で息を吸うんだよ。そうしたら苦しくないから」 鼻で息すればいいのか。 (……先生は、誰かとこんな事した事あるのかな) そう考えたら、胸が冷たく痛くなった。 そりゃ自分より何年か多く生きてるから知識はいっぱいあるだろう。 でも、他の人ともやったのかなって思うと辛くなる。

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