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第45話
頭を鈍器、いやそれよりももっと硬く、痛い何かで殴られたような気分だった。
反論出来ない、いや肯定するべきなのかもしれない。
そうだよ、俺は醜いんだよ。
何度も繰り返して思う、自分の醜さなんてもうとっくの前から気づいてるんだよ。
「そんな大好きな先生も、俺が一言言えばお前の前から消えるぞ?
『うちの子が凌辱された。家にまで連れていき、酷い事をされた』ってな」
「っ、先生は関係ない!」
「どうだかなぁ、今の学校はシビアだぞ?教師が生徒に手を出した、なんて報道されたら表すら歩けないだろうに」
「……………じゃあ、どうしたら、話さないでくれますか」
固く握りしめた拳を抑え、何が目的なのか探る。
先生には迷惑をかけない。かけさせない。
先生は、俺が守らなきゃ。
「……ははっ、物分かりのいい奴に育って良かったよ。
ここで話すのもなんだ、家に帰ろうじゃないか」
話す気なんて無いんだろう。
また、俺の身体を醜くしていくなんて、分かってる。
また、戻ってしまう。先生が開いてくれた扉を、また戻りに行ってしまう。
ごめんね、先生。
ありがとう、先生。
ねぇ、先生。
ずっと、好きだよ。
先生には、何も迷惑をかけないから。
だから、幸せになってね。
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