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第48話

試しに電話をかけてみるけど、留守電サービスに繋がってしまう。 流石にこんな風に距離を置かれると心も折れそうになる。 だけど、諦めない。 俺はまだ、月山の本当の心の声を聞いてないから。 まだ痣の事も、好きな事も、何もかも知らない。 (明日、月山の家に行ってみよう) 担任では無いが様子を見に行くぐらいいいだろう。 どうしても話がしたい。面と向かって月山の意思を聞きたい。 「すいません、どなたかいらっしゃいますか」 玄関のチャイムを鳴らし、声を上げる。 前回よりも、不思議と緊張してしまうのは何故だろう。 「………はい、どちら様でしょ、う………っ」 「月山!」 「っ!」 ほんの少し開いたドアから月山が顔を出したが、俺の姿を見た瞬間閉めようとドアを引いた。 俺はすかさずドアに手を挟み閉じさせまいと引っ張る。 内側にかかっている鎖でそこまで開けないが、月山の顔は確認する事が出来た。 たった四日間だけで以前より手首は細くなっていて、首元にまでガーゼや包帯が侵食していた。 誤魔化しきれない傷跡に、言葉が詰まりそうだ。 それを見ただけで、胸は張り裂けそうな程に痛くなり。 「月山、お願いだ。ここを開けてくれ」 「……さようならって、送ったはずです。帰ってください」 「俺はまだ、ちゃんとお前の口から聞いていない」 「っいいから、早く帰ってください!」 「月山、俺の目を見て、言え」 「っ………」

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