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第49話

月山が抱える闇を払えるものなら払いたい。救えるなら手を引いて引き上げたい。 でも、全部全部が分かるわけじゃないから。 月山の口から、全てを聴きたいから。 「駄目、なんです……っ、先生は、俺じゃ駄目だから……」 「俺は逃げない。俺は、月山がいい」 「っ…………」 「また、明日も来るから。俺は諦めないから。 何度でも、俺は月山を助けるから」 ドアから手を離し、ゆっくりと閉まっていく。 月山の涙が溢れ出た表情はゆっくりと閉じられていく。 無理に引き止めても余計に心を塞ぐだけだから。 また傷が増えていたらどうしよう。また、かたくなに拒否されたらどうしよう。 でも、次は絶対に離さない。 あの小さく、冷たい手を離してしまったらもう二度と温めてあげられない。 俺はスマホを取り出し、とある人物へと電話をかける。 こいつは今の状況では頼りになる。 いざという時は使うつもりだ。

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