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第56話
「証言と一致だな………ごめんな、言わせてしまって。
あと一つ、言わなきゃいけないのは今後の生活の事について」
話によると、高校生ではまだ親の保護の元にいなければならないらしい。
だけど俺の場合、母さんが家を出ていった為に親族を探さなければならないそうだ。
「お母さんの行方は探すとして、今の段階だと父親の親族の方に身柄を預ける事になるんだが………」
「……………」
父親の親族にも母親の親族にも会ったことがないから、どうとも言えない。
だけど、父さんの親族という事だけで俺は警戒心が解けるわけが無く。
「どうしようか……身近な人が親族だったらまだ良かったんだが」
「………なぁ、一ついいか」
唐突に先生が声を上げた。
変わらず俺の手を握ってくれているからなんとか保てている。
「どうした」
「血縁が遠いけど、俺は一応月山の親族だ」
「はぁ?お前それほんとか!?」
「俺だってちゃんと調べたよ。本当に遠いけどな。
一応分家としては繋がりはあった。
血の繋がりがあれば大丈夫なんだろ?
それに月山は今他人に敏感になっているし、慣れている人がいいんじゃないか?」
「確かに、一理あるな………月山君は、綾人と仲がいいんだよね?」
「仲がいいというか……」
「精神が不安定な時に知らない人との生活はストレスになる事もあるし、慣れてる人がいいのは分かる。
綾人なら大丈夫?」
「……はい」
「よし、じゃあ俺はこの事を上と話してくるよ。
起きたばっかりなのに長く話させちゃってごめんね。体調が治ったらまた顔を見せて欲しい」
「こちらこそ、ありがとうございました」
俺達に一礼すると、病室を出ていった。
見た目は好印象だが、やはりまだ人に対しての恐怖は拭えない。
それに。
(いくら痣が消えても、先生と一緒にいる事が苦痛なのは変わりない)
俺となんて、一緒にいちゃ駄目なのに。
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