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第59話

あれから一週間、先生は仕事が終わると毎日来てくれた。 学校の事とか、その日あった出来事をいっぱい話してくれて退屈はしなかった。 たまに真悠さんが来て、手続きや色々な話をしていった。 その時は先生も一緒で俺が分からないとこは教えてくれたりした。 「あぁ、今日は一つ……話があるんだ」 「?なんでしょうか」 「君のお母さんについてなんだが……君のお母さん、月山恵海(つきやまめぐみ)さんは今も生きている」 「………!」 「今はかなり遠い所に住んでいるようだ。………再婚もしていた」 「………そうですか」 「連絡を取ることは出来るが、どうする?」 「いえ……大丈夫です。家を出ていってからだいぶ経つし、今が平穏なら壊しちゃいけないので」 (母さん、元気なら良かった) 再婚したんだ。あとから聞いたけど、子供も二人いるんだって。 幸せになれて良かったね。 そしたら、俺はもう他人だから関わっちゃいけない。 「真悠さん」 「何かな?」 「色々、ありがとうございます」 「…………どういたしまして」 何故か真悠さんは頭を掻いて目を逸らした。 俺なんか間違えた事言ったかな? 「綾、お前あんないい子どこで手篭めにしたんだよ」 「いや人聞き悪い事言うな馬鹿手篭めになんてしてねぇよ」 「月山君、綺麗だな。俺にくれないか?」 「その言葉謹んでお返しする。月山はやらん」 「ははっ、ま、せいぜい頑張れよ。もたもたしてっとどこかの誰かに取られるぜ?」 「生憎、手放す気は無いんで。どこかの緑頭にやる予定は無いね」

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