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第61話

「ぐぬぬ………」 「そうやって何分経つんだ、ほら引いて」 俺の手にカードは一枚、先生の手には二枚。どちらかがジョーカー。 さっきから先生の表情を伺うが、全く変わらない。 つまり勘でいくしかないという訳だ。 「……ではこちらで」 左のカードをつまみ、手元に引き寄せる。 カードはジョーカーだった。やっぱりヤマ勘はよろしくない。 (まぁ、ここで先生がジョーカーを引けば大丈夫) 体の後ろでカードをシャッフルし、 「さぁて、どっち引こうかな〜」 先生の番、俺の顔とカードを交互に見ながら探ってくる。 俺は元々顔に出ないのでバレることはないはず。 「こっちだ」 「!」 先生はニィ、と笑うと迷い無くカードを引いた。 そのカードは、ハートの二。 「よく分かりましたね」 「月山って瞼がピクンって動くから分かりやすいんだよね」 「えっ……」 何それ、自分そんな癖あったのか。 「じゃあ、俺の勝ちって事で」 「むぅ……お願いはなんですか?」 「月山の、身体を見せて欲しい」

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