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第63話

「んじゃ早速……」 「んぇ、えっ待ってくださ………!?」 すぐにといわんばかりに来ていた病院服の紐を解かれ慌てる。 まだ心の準備というか決心というものがついていないから少しぐらい時間が欲しい。 一気にムードもぶち壊しだ。 「いや、割と早い方がいいのかと思って」 「だ、だからって少しは時間をくださいよ……!」 「あと少しって絶対時間伸ばすだろ」 「うっ……」 「あんまり暴れるなよ、看護師さんが来ちゃうから」 「は、はい……」 左右の紐を解かれ、前がはだける。アンダーシャツを着ているから直で見られるわけじゃないけど、既に恥ずかしい。 浮いていた肋も少しだけ肉はついてきたがまだまだ骨張っている。 健康体とは言い難い身体に段々見せるのが怖くなってきた。 「や、やっぱり見ない方が……」 「駄目」 「へ………ひっ!?」 その瞬間、先生はアンダーシャツの裾を掴んで一気に胸元まで上げた。 あまりの早さに止める間も無く、言葉も出なかった。 少し肌寒い外気に触れ、身体が震える。 「せ、んせ……!」 「…………」 呼んでも反応せず、顔を近づけ俺の身体を穴が開くぐらい凝視する。 表情を伺えず、やっぱり引いたんじゃないかって思えてきた。 「気持ち、悪いでしょ……だから、も、離して……」 「気持ち悪くないってば。普通に肌綺麗だよ」 (先生の目は節穴か…?) 一体どこを見てそんな事を言えるのか。痣だらけで変色した肌のどこが綺麗だ。

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