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第68話
「んっ……綺月は汚くない」
それから口を離して、俺の顔を覗き込む様に見上げる。
気づいたら流れていた涙を指の腹で拭い、目と目を合わせてくる。
「純粋で真っ直ぐで、自分よりも人の事を優先する」
「…………?」
「こうやって快感に慣れてないとことか、恥ずかしそうに太ももを擦り寄せるとこが可愛い。
あぁ、声を上げる時少し高めなのも………むぐ」
「なっ、な……っ」
俺は一体何を聞かされたのか。
先生が躊躇いもなく俺の恥ずかしい事を思い切り暴露するなんて。
自分でも意識してなかった事をいわれ顔が真っ赤になっているだろう。
言葉すら出ない。
「むぐぐ、むぐっ……ぷは、死ぬとこだった……」
「先生は、何をおっしゃって……!」
「だから、綺月はもっと自分を大事にして欲しいって」
「……」
「そんなに卑下しないで。自分を傷つけないで。
また次に自分の事汚いって言ったら……お仕置き」
「お、お仕置き……」
「ね?だからもうそれ禁句」
「ん………はい」
頭を撫でられ、優しく微笑まれる。
先生の言葉に、安心する自分がいた。でも半分やっぱり汚いって思う自分もいる。
「もしまた自分が汚いって言いそうになったら、俺に言って?
また、俺が綺月の綺麗なとこいっぱい言って安心させてあげるから」
う………それはちょっと恥ずかしいかも。
だって俺の綺麗なとこってさっきみたいなあれだから、つまり俺が恥ずかしい事な訳で。
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