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第76話

「………… !?」 「うぉっ、爆発した………大丈夫?」 顔からぼふって音がした。 身体全身が熱湯を浴びたみたいに熱くなって、手汗がじわじわと出てくる。 心臓がバクバク音を立てて、血液が勢いよく流れるのを感じる。 (今、今……) からかってる?いやあの目は真剣だった。 同情?あぁそうかもしれない俺が可哀想だから言ったのか 「俺は同情なんかで人を好きにならない。お前が家に来てから、好きだったと思う」 「………っ、だ、駄目です、だって」 「教師と生徒?別にそんなもん関係無いだろ。 バレないようにすればいい話だし」 「そうじゃなくて、俺じゃ………俺じゃ黒木さんを、幸せに出来ないから……」 俺は沢山の幸せを黒木さんから貰った。両腕から溢れる程にいっぱいの温かさを。 でも、俺は何もあげられない。 人と関わる事を止めてたせいで、どうすればいいのか分からない。 傷つけてしまうかもしれない、嫌いって言われるかもしれない。 もっと、幸せにしてくれる人がいるはずだから。 「先生には、もっと良い人がいます。 幸せにしてくれる女性が、きっと現れますよ…… だから………っ」 「…………綺月」 ふわっと香る、ちょっと甘い匂い。 手をきゅっと握られ、黒木さんの両腕に収まる。

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