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第80話
「ほんと、綺月は泣き虫だなぁ」
「んっ、だって……っ」
「嬉しい。綺月の気持ちが聞けて」
涙の跡を辿るようにキスを落としていく。
目の前がキラキラして眩しい。明るくて、眩しくて、こんなに嬉しいなんて初めて。
「そもそも俺綺月と一緒にいるために住もうって言ったんだし。
女の人なんてもういいよ〜綺月だけで充分」
「ほ、んと…?」
「ほんと。………それに」
「?……ひぅっ!?」
知らぬ間に服の中に潜り込んだ手がするりと腹を撫でる。
冷たい手の温度にびっくりして声を上げた。
「綺月の方が数倍可愛いしエロい」
「可愛いって、俺男……」
「知ってる。料理が上手で肌が白くて気遣いが出来て、」
顔をぐっ、と近づけ耳元で囁く。
「えっちな事を知らないとこが、そこら辺の女子よりよっぽど純粋で可愛い」
「〜〜〜っ………な、なっ」
「これから少しずつ、勉強していこうね」
そう言って微笑む黒木さんの顔は楽しそうで、とても色気のある笑みだった。
ちょっと怖いのに、ゾクゾクと腰が震えてしまった。
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