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第118話*
「はーい、キャベツ。お迎えありがとうなのん」
遥は助手席のドアを開けて、頭から潜り込むと、運転席に座っていた稜而とキスを交わした。
稜而の舌まで絡め取って、しっかり味わってから、満足げに唾液で濡れた自分の唇をぺろりと舐める。それから目を伏せ、稜而の耳に甘い声を吹き掛けた。
「早く愛し合いたいのん……」
「俺も」
二人はもう一度深く口づけ、名残惜しみながら口を離した。
稜而は車を発進させ、区画整備された臨海地区を走りながら、あえて軽い口調で訊いた。
「面接はどうだった?」
遥は自分の頭の後ろにあるヘッドレストへ両手を回した。
「落とされるようなヘマはしなかったと思うわーん。……でもでも思い返してみると『教育に自分も加えていただきたい』とかとか、ところどころ日本語がおかしかったなーって思うのん。遥ちゃんにしては珍しく緊張してたんだと思うわー……」
ずるずると助手席に沈み込んだ。
「多少の緊張は誰にでもあるから。その程度のことで落とされることはないと思うけど」
「ふーむ。『普通にしていたら、まず落とすことはない』って、如月も言ってたけど……」
「如月がいたの? よく働くな」
稜而は前髪を吹き上げて笑う。
「研究室でアドバイスをくれたときはいい人だったけど、面接官の中では一番ヤな感じだったのよー」
「そういう役回りだったんじゃないかな。如月って人をいたぶるの好きだから」
「ふふっ、わかる気がするのん。♪Ah.......、けんきゅうしつのぼーってー、ターバコのさき、にらーんで、めんせーつ、ガーンとーばすー♪」
二人で笑っている間も、車は東京湾沿いの道をひた走り、大きな観覧車の脇を抜けて、高層ビルの地下駐車場へ車を停める。
エレベーターで五〇階まで上がり、ホテルのフロントでチェックインをして、さらに上層階のダブルルームへ案内されると、遥は一直線に窓際へ駆け寄った。
ベルスタッフが一礼して出て行き、部屋のドアが閉まるとすぐに、稜而は遥を背後から抱き締める。
「遥。……こういう見晴らしのいいところは好き?」
腰にまわされた手に、遥は自分の手を重ねた。
「好きよ。気持ちが晴れやかになるわ。稜而は?」
「好きだよ。見通しはいいほうがいい」
遥の頬に、稜而の頬が触れる。遥は振り返り、視線で欲しいものを訴えて、望みどおり唇に唇が与えられた。
舌を差し出すと、稜而の口の中へ迎え入れられ、さらに甘く噛んで吸われ、遥の身体には心地よいくすぐったさが湧き上がった。
「ん……っ」
遥は稜而と舌を絡めあいながら、腰にまわされている稜而の手を自分のベルトの金具へ導いた。
稜而はすぐに意図を汲んで遥の腰を締めているベルトを外し、前立てのボタンとファスナーにも手をかけた。濃紺の布はすとんと落ちて、遥の白い脚があらわになる。
稜而は左手で遥の腰を抱き、右手で膝上から腿裏を撫で上げ、黒いシンプルなTバックショーツが食い込む尻を撫でた。
「こんなに頼りない下着じゃ、すぐに入っちゃいそうだよ」
トラウザーズ越しの硬さを押しつけられ、遥は尻を突き出した。
「入っちゃって、いいのよ……」
遥は窓枠に手をついて、白い尻を突き出し、稜而のほうを振り返った。
「すごくいい眺め……」
稜而は遥の身体から数歩下がって、その姿を携帯に納めると、必需品が入ったポーチを手にした。
再び遥の背後に立って、遥の窄まりに潤いを施し、自身を薄膜で覆うと、興奮する先端を窄まりに擦りつけて予感させ、遥の肩を掴んで一息に貫いた。
「あああああっ!」
脳天まで突き抜けるような衝撃に、遥は仰け反り、絶頂した。
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