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第146話*
「あ、ん……。稜而……」
ねっとりと首筋を這った舌は、左右の鎖骨を往復し、総毛立つような快感が遥の中を駆け巡る。
「あとでシャワーで洗ってあげるから、いっぱい舐めさせて」
「やーん。溶けてなくなりそうなのん」
笑い声が響く胸骨を舌で辿り、肋骨の一本一本へ、脇腹まで丹念に舌を這わせる。
「ンっ、ん……。稜而……」
「遥、美味しい」
「食べ物じゃないのーん……。ああっ!」
胸の粒に大きく広げた舌が押し当てられて、遥は息を呑む。
何度も広げた舌で舐め上げられ、硬く尖ると唇に覆われて、舌先で転がすように愛撫される。
「あっ、あっ、稜而……っ」
全身に広がる甘美な刺激に身を任せ、遥は容易く絶頂した。
「遥、可愛い。反対側もしよう」
まだ浮遊感が残る遥の身体へ、稜而は愛撫を再開する。反対側の胸の粒を口に含まれ、遥はまた苦悶の表情を浮かべた。
「ひゃあんっ! 稜而っ、またいっちゃう」
ぐりぐりと舌先で捏ね回すような、執拗な愛撫を受けて、遥はまた絶頂した。
「はあっ、はあっ……」
頬を赤くして、薄い胸を大きく上下させる。
その間も、稜而は遥の肌に舌を這わせ続け、脇腹から腰骨へ至ると、皮膚の薄いところをキツく吸い上げてから、遥を横向きに寝かせた。
「足、痛くない?」
「大丈夫」
稜而は遥を背後から抱きつつ、うなじに、肩にキスをして、背骨をゆっくり辿っていく。
尾てい骨の上の皮膚を強引に吸うと、小さな火に炙られるような快感に遥が声を上げる。
さらに少し下がって、発酵したパン生地のように柔らかな尻たぶを手で包み、ゆっくりと捏ねる。両側から押しつぶすようにしたり、割り開いたり、唇で感触を確かめたり、頬擦りをしたりして、狭間に顔を埋めてうっとりと目を閉じた。
「はあっ、遥のお尻は最高だ。すべすべした手触り、柔らかさ、弾力、大きさ、形。俺の理想!」
雨あられとキスを降らせながら、ローションを手繰り寄せ、指にのせて温めて、そっと遥の窄まりへ触れる。強制しなくても、遥のほうからぱくぱくと欲しがっていて、稜而は容易く指を沈め、ぐるりと輪を撫で、クルミ大の膨らみを押さえた。
「はっ、はあっ。ああん、稜而っ! もう、来て……」
「せっかちだな。一度指でいってからにしようよ」
「稜而が欲しいのんっ!」
「だぁめ。ほら、いって」
指を二本差し入れてぐちゅぐちゅとかき回し、膨らみを撫でて促すと、遥は大きく身体を震わせ、稜而に押し出されて吐精した。
「ああ、零しちゃった」
稜而は溢れて絡みつく先端だけでなく、シーツにこぼれた雫まで舐め、遥は恥ずかしそうにはにかんだ。稜而は遥の頬にキスをして、再び遥の背後に横たわり、遥を抱き締める。
「遥の中に入りたくなってきた……」
稜而は息を詰めて遥の尻の狭間に屹立を擦りつけては、鼻にかかった甘い吐息を遥の耳に吹き掛ける。
「はあ。遥のお尻、気持ちいい……」
「来て。早く来て」
遥は自ら稜而の屹立に尻を擦りつけた。
「遥は本当にせっかちだな。そんなにお尻を突き出したら、入りそう……。ほら、入っちゃうよ」
稜而は遥の耳を笑い声でくすぐりながら、コンドームを手にする。肩にキスをしてあやしながら、自身を根元まで覆って、ローションを塗りつけた。
「いい?」
頷く遥のうなじにキスをして腰を抱え、先端を窪みにあてて、ずるりと押し入った。
「あんっ!」
内壁を押し広げられて遥が顎を上げる。反射的に逃げる腰を捕まえて、じっくり己を押し込んだ。
「ああっ! あ、あ、稜而……っ!」
稜而は肩にキスを繰り返して遥をあやしながら、自身を根元まで収める。
「ぴったりくっついた。ね?」
「はあっ、うん……」
遥が後ろ手に稜而の髪を撫でる。稜而は遥の肩に顔を埋め、もごもごと言った。
「遥、大好き」
稜而が抜き差しを始めると、遥の身体には甘い痺れが広がる。
「稜而っ、ああっ、りょうじ……っ!」
遥の腰も稜而の動きに合わせてうねり、二人の摩擦は大きく、生じる快感は絶え間なくなって、瞬く間に身体が熱くなる。
稜而は遥の腰を抱え込み、本能に誘われるまま夢中になってつなぎ目を揺すり、遥は断続的に快感を与え続けられて、眉根をキツく寄せながら、絶頂を待った。
呼吸も苦しくなってきたとき、濁流のような快楽が押し寄せてきて、不意に遥の意識は浮遊する。
「あ、あ、稜而。いく……いく……」
もがく遥の手を握り、稜而はさらに強く最奥を穿った。
「おいで、遥っ」
「あっ、あああああっ!」
噴火するように絶頂を迎えて、遥の身体は震え、内壁は収縮して、その刺激にいざなわれ、稜而も咆哮しながら、己を解き放った。
「足、痛くない?」
「大丈夫なのん」
シーツの海に身体を投げ出し、キスをしたり、相手の髪を指に巻きつけたりしながら、心地よい気怠さを味わう。
「抜糸したら、もっと楽になるから」
「ふふ。抜糸したら、遥ちゃんはアルバイトをするのん」
「アルバイト?」
「実はもうリサーチ済みなのん。抜糸の日に面接なのよ」
遥はシーツに頬を押しつけて、若草色の目を細め、ドレンチェリー色の唇を左右に引いた。
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