149 / 191
第149話*
「どんなふうに気持ちよくしてくれるの?」
稜而は、パジャマのボタンを外す遥の指を一緒に見ながら、ミルクティ色の巻き髪にキスをする。
「ふふっ。どんなふうに気持ちよくなりたい?」
「キスして……」
甘えた声に耳をくすぐられ、遥は首をすくめて笑ってから、顎を上げ、稜而の唇へ自分の唇を差し出した。
稜而は遥と唇を合わせながら、パジャマの上衣を脱ぎ、遥の背を抱いてゆっくり後ろへ倒れる。
遥はそのまま馬乗りになって、稜而の口の中へ舌を差し込み、稜而は与えられた舌に自分の舌を絡ませて応戦しながら、黒く透けるベビードールの内側へ手を入れて、腰から背中を撫で回し、脇に両手を差し込むと、左右の親指の腹で、遥の胸の粒を捉えた。
緊張を緩めてふっくらしていた乳首は、稜而の親指の腹に擦られるとすぐ勃起して、人差し指と共につまんでねじると、遥は口を離して喘いだ。
「はあんっ! ダメなのんっ、ああっ!」
「そう言わずに、もう一度いきなよ」
稜而は刺激を緩めず、遥は諦めて目を閉じて、素直に快楽を追い始めた。
「んっ、稜而……。あんっ、ん、ん、ん……」
遥の身体は小さく揺れて、眉間に力がこもり、稜而の意のままに声を上げる。
「あん……、いきそう……。いきたい」
「いいよ、おいで」
「はあんっ! あああああっ!」
稜而がきゅっとつまんだ瞬間、遥は全身に甘い痺れが駆け巡るのを感じ、大きく身体を震わせて絶頂した。
稜而はその姿を見上げ、満足気な笑みを浮かべて、倒れ込んでくる遥を抱きとめる。
「はあっ、はあっ……。また遥ちゃんが一人でいっちゃったのん……。稜而は全然気持ちよくなってないのよ」
「俺は最後に必ず気持ちよくなるんだから心配無用。遥のほうが負担が大きいんだから、たくさん気持ちよくなって、楽しんで」
「いつもそう言うのん……」
稜而の胸の上に潰れたまま、遥は唇を尖らせ、稜而の乳首にふうっと息を吹きかけた。
「だって、いつもそう思ってるから。……愛してる」
ミルクティ色の髪にキスを落としながら、ゆっくりと遥の背中を撫で、その手は次第に腰へ下りて、発酵したパン生地のようにふわふわと柔らかく白い尻へと達した。
「遥のお尻、大好き。色も形も手触りも……。ねぇ、逆さまになって。舐めたり、匂いを嗅いだりしたい」
「やーん! エロおやじっ! 正直すぎるのん! お尻は臭くて恥ずかしいところなのよー!」
「遥がそうやって恥ずかしがるから、余計に興奮するよね」
稜而は遥の手を掴むと、自身の高ぶりへ導いた。
「稜而のえっちっちー!」
「おっしゃるとおり。ね、逆さまになって」
お願い、と甘えた声でねだられ、遥はもぞもぞと逆さまになって稜而の顔を跨いだ。
「眼福」
「おばかなのーん!」
稜而が遥の尻を両手で揉みしだくあいだ、遥は笑いながら稜而の高ぶりを布越しに撫で、キスを施し、柔らかく広げた舌を押しつけて形を辿ってから、パジャマのズボンとローライズのボクサーブリーフをぐいぐい押し下げた。
稜而も腰を浮かせ、下着とスボンを蹴り落として、積極的に遥に自分自身を晒す。
「うふふっ。超、えっちっちー!」
遥は舌なめずりをすると大きく口を開け、一息に稜而の屹立を含んだ。
「うっ」
遥の尻を撫で回す手が弱くなり、遥は目を細めて頭を上下させる。
さらに根元を指の輪で扱き、茎を唇の輪で扱きながら、笠のふちや先端を舌で舐めまわすと、稜而は静かに息を吐き、遥の愛撫を素直に味わった。
少しのあいだ、寝室には水音だけが響いていたが、遥の尻にまた稜而の手の温もりが触れた。
「遥、そろそろ……、ストップ」
遥は言うことを聞かず、さらに刺激を強めて、稜而の腹に力がこもる。
「いい子だから。遥の中でいきたいんだ」
その言葉も無視していると、いきなり遥の尻が掴まれ、左右に割り開かれて、ぬるりとした感触がめり込んだ。
「やあんっ! それはダメなのーん!」
唾液の糸を引きながら、稜而の屹立から口を離し、遥が仰け反る。
しかし稜而は許さず、遥の身体はぬめる舌でこじ開けられた。遥の腰を甘くくすぐるような感触が巡って、遥は泣きそうな顔になる。
「はあん。ダメなのん、そんなところ。舐めちゃダメなのん……。ああん、ダメーっ! ダメったら、ダメなのーん!」
遥が本気で怒り出す直前で、稜而は顔を離した。
「指ならいいよね」
稜而は唾液で濡れた遥の窄まりに、ローションをまぶした指が突き立てた。
「はあっ! ああん! 変になっちゃうのーん」
「なっていいよ。遥が好きな場所、ここだよね」
稜而の指先で敏感な場所を突かれて、遥は悲鳴を上げた。
「きゃあっ!」
稜而は遥の反応を観察しながら、撫で回す角度や強さを変え、遥は稜而の意のままに翻弄されて、稜而の屹立にすがりつきながら甘い声を上げ続ける。
「仕上げ」
ウィークポイントをぐっと押されて、遥は身体を震わせた。
「あああああっ!」
遥の上半身が稜而の屹立の傍らへ力なく崩れ落ちると、稜而は身体を引き抜いた。
「ぐずぐずに蕩けて、いい感じ。俺もいかせて」
遥はシーツに頬を押しつけ、尻だけを高く上げた格好でぼんやりと頷く。
稜而は自身の屹立に薄膜を被せると、ローションをたっぷりまぶして、その切っ先を遥の窄まりに触れさせた。
「いい?」
稜而はゆっくりと遥の身体へ己を埋める。
「あんっ、ん、ん……」
遥の背中を撫でてあやしながら、根元まで埋めると、稜而は遥の背中に自分の上体を沿わせて抱き着き、息を吐いた。
「愛してる、遥。キスしよう」
潤んだ瞳で振り返った遥と唇を重ね、舌を絡めて、ざらついた感触と、ぬるついた感触を交互に楽しみながら、稜而は少しずつ律動を始めた。
「あんっ、稜而……っ!」
口を外して喘ぎ始めた遥の頬や汗ばむ首筋、肩にキスをしてあやし、シーツを掴んで白っぽくなっている遥の右指を自分の右指に絡め取って、左腕で腰をしっかり抱き込み、自分の下腹部を遥の尻に打ちつける。
湿った肌がぶつかり合う音と、遥の喘ぎ、稜而の息遣いが寝室に響く中で、湧き上がってくる快感に目を閉じる。
「ああ、遥……」
本能のままに規則正しいリズムで擦りつけ、突き上げて、遥は二人の境目から全身に響く快感にすすり泣くような声を上げた。
「や……ん。もう……、もう。りょうじ……」
「俺も……っ。いい?」
「来て。来て、稜而」
稜而は律動を強く早くして、遥が花火が打ち上がるような快楽に全身を震わせるのと、ほぼ同時に高まった。
「ああっ、遥っ!」
釣り上げられた魚のように身体を震わせ、遥の最奥で爆ぜて、一瞬の静寂に包まれてから、稜而はゆっくり目を開けて、遥の隣に倒れ込んだ。
ともだちにシェアしよう!