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第161話*
「あ、ふ……っ、う……んん」
遥の口の中に、稜而の舌が滑り込んでくる。ぬるぬると遥の舌の上を滑り、するりと絡めとって、気づけば稜而の口内へ引き込まれている。
ゼリーを食べるように優しく吸われ、震える腰は強く抱かれた。薄布を通して稜而の大きな手の形に熱を感じる。
遥も夢中になって稜而の首に両腕を絡め、まだ濡れている黒髪に手を差し込んで愛撫した。
互いの硬さが触れ合って、火傷したような衝撃に身体を跳ね上げると、すかさず稜而の腕に抱き上げられる。
整然と並べられた衣類の間をすり抜けて、姿見の前のソファに座らされた。
「あんっ!」
自重がかかって大粒のパールビーズが食い込む。衝撃に顎を上げる姿を稜而は目を細めて観察した。
扉一枚ほどの大きさがある姿見は、真っ直ぐな茎の上で花弁を反らすベラドンナリリーの姿がエッチングされている。
稜而の口が遥の耳に押しつけられた。
「ベラドンナリリーには『ありのままの私を見て』という花言葉があるらしいよ」
遥は黒い薄布をまとってソファに座る姿を真っ直ぐに見る。左右の胸には細いリボンがあり、下腹部には膨らんだ雄蕊が窮屈そうに身体をゆがめている。
扇情的な姿から目を逸らそうとしたとき、ソファの手すりに腰掛けた稜而の指が遥の顎に掛かった。有無を言わせない強さで、鏡と対峙させられる。
「見て、遥。自分がどんなに俺を煽る姿をしているか。俺と遥のセックスが、どれほどいやらしくて、歓喜に満ち溢れているか。俺と遥がいかに深く愛し合っているか。いい? しっかり見ていて」
稜而は遥の前に跪く。頬から耳へ、耳から首筋へと施されるキスが遥の身体に小さな疼きを与える。
鏡には全てを脱ぎ捨てた稜而の後ろ姿。遥の皮膚に跪いて接吻しながら、愛おしげに遥の肩の丸みを撫でる様子が映っていた。
「稜而…………」
小さく身体を波打たせ、疼きに耐えていたとき、稜而が胸元のリボンの端を咥えた。気づいて見下ろす遥としっかり視線を合わせたまま、前歯で噛んだリボンを引っ張る。蝶結びははらりと解けて、一絡げしたリボンが胸の粒の上に残る。
稜而は舌を伸ばし、絡むリボンと遥の胸の粒の隙間へ尖らせた舌をゆっくり差し込んだ。
「あっ!」
稜而の舌が乳首に触れて、遥は声を上げた。しかし稜而の舌は一絡げしたリボンの交点を舌の上に乗せて顔を離していく。
リボンは解けてスリットは割れ、胸の粒は露わになった。
「可愛い。こんな実があると知ったら、鳥が啄みに来る」
稜而は自分の閉じた唇で遥の小さな実に触れた。
「んっ! 稜而」
優しい摩擦にまた身体へ熱が広がったが、もっと強い快楽を知る遥には、物足りなさが募ってくる。
「稜而、もっと」
「もっと、何? 言葉で教えて、遥」
「食べて。稜而の……、稜而の口に含んで、舌の先で転がして」
「いいよ。しっかり鏡を見ていて」
稜而の口に含まれると、鏡に映る遥の身体は震えた。
「あっ!」
柔らかな舌が押しつけられたかと思うと、その舌先は硬く尖り、遥の胸の赤い実がころころと転がされる。
舌先になぶられるたびに快感が湧き起こり、止まないさざ波となって遥の身体に押し寄せ続ける。
逃れたくても背後はソファ。遥は今にも泣き出しそうな顔をしながら口を開けて喘いでいた。
「あ、もう……いく……」
遥の呟きに稜而は遥の背に手を回し、逃げ場をさらに封じてから、一層強く舌先で捏ねて追い詰めてくれて、遥は快感の波に呑まれた。
「あああああっ!」
てらてらと胸の粒を光らせながら喘ぐ遥に、稜而は静かな声で訊いた。
「今、ちゃんと鏡を見てた?」
「え? あ、見てなかった、かも」
稜而は前髪を吹き上げる。
「仕方ないな。もう一回してあげるから、ちゃんと見て」
反対の胸のリボンを解くと、現れた粒に吸いつき、濡れた粒は摘まれた。
「あっ、やあっ!」
摘んで捻り、押し潰され、指先で抉るように掘り起こされては、また摘んで揺さぶられる。反対の胸の粒は意思を持つ舌に翻弄された。
左右の胸から快楽の波が立ち、広がる波紋はぶつかりあって、遥の全身を甘く襲う。快楽は瞬く間に積み重なって、遥は追い詰められて声を上げた。
「あっ、やあっ! また……またいっちゃう……」
限界まで溜め込んだ快楽が弾けて、遥は後孔のパールビーズを食い締め、そこでまた新たな快感に襲われて、ソファの肘掛を掴みながら、いつもより長い時間、快楽に冒された。
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