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第163話*

 稜而は遥が見つめる前で、自分の雄蕊を手のひらに包んで軽く扱く。硬さが確かになるまでの間、稜而は微かに目を細めたり、息を詰めたりゆっくり吐いたりして快感を取り逃し、遥はその様子を見て無意識のうちに唇を舐めていた。 「楽しい?」 「あーん、とっても!」 稜而は苦笑しつつ屹立を丁寧に薄膜で覆い、ローションを遥の手のひらに絞り出して、その手を掴んで自分の屹立へ導いた。 「あっついのん……」 遥が張り詰めた茎を握って扱き、先端を手のひらで撫で回すと、稜而は息を吐きながら天を仰いだ。 「遥ちゃんのこと、欲しくなっちゃった?」 「ああ……。いつだって欲しい」  稜而は遥を手招きすると、その耳に囁く。 「鏡のほうを向いて、俺の上に座って。ゆっくりおいで」 「やーん、えっちっちー!」 遥は笑いながら稜而に背を向け、支えられながら静かに腰を下ろしていく。柔らかな蕾と硬い切っ先が触れ合った。 「いい? 入るよ?」  解された場所へ稜而が先端を擦りつけて、からかうように囁く。触れ合った場所からは甘く温かい感覚が広がって、遥は目を眇めながら身体を沈めていく。 「あ……ん。入ってくるのん……」 ゆっくり根元まで含むと、背後から稜而にぎゅっと抱き締められた。 「遥と、ひとつになった」 「らぶらぶなのん」  腹の前で交差する稜而の腕を抱き締めて、遥はミルクティ色の髪を揺すって笑った。 「さて、集中して、遥。一緒に鏡を見よう」  稜而は遥の膝の裏へ手を掛けると、そのまま持ち上げて大きく開き、左右の肘掛けへ乗せた。  鏡の中には肩幅に脚を開いている稜而の左右の内腿とその中心に果実を内包した嚢があり、その上に遥の白い脚が大きく開かれて、外性器を露わにしている。 「やーん、えっちっちーなのん」 遥は両手で頬を挟んで、ミルクティー色の髪を振った。稜而もその光景に軽くのぼせて熱くなった頬を遥のうなじに押しつける。 「恥ずかしいね。でもすごくいい眺めだ。俺たちが愛しあってるってわかる。ほら、つながってるところを見て」 とんっと軽く突き上げられて、遥は背筋を震わせながら鏡を見た。遥の蕾が開き、稜而の茎を飲み込んでいる。その襞は柔らかく伸びきって、稜而の太さに吸いついていた。 「遥のなかはいつも気持ちがいい。あったかくて、柔らかくて、でもキツく締めつけられて。……ああ、我慢できなくなってきた。いい?」  遥が頷くと、稜而は緩やかにつなぎ目を揺すり始めた。稜而が動くたびに遥の内壁は擦り上げられ、快楽の波が立って、全身へ広がっていく。 「あん……」 「気持ちいいね、遥」 稜而は遥の髪や肩にキスをしながら、舟遊びを楽しむようにゆらゆら揺れて、湧きあがる快楽に目を細める。 「はふん……きもち、のん……」 遥は頬を上気させ、顎を上げて鏡に映る。  稜而も遥の肩越しに一緒に鏡を見て、頼りなく揺れている遥の雄蕊や、根元まで飲み込まれたつなぎ目、そして遥の敏感に尖らせた乳首、大きく脚を広げて悩ましげな表情で快楽に耐える姿に呼吸を早める。荒くなる呼吸はそのまま遥の耳に注ぎ込まれ、遥はつなぎ目の疼きに耐えきれなくなって腰を揺らめかせた。 「可愛い、遥。もっと動いて」  遥は腰を前後に揺らす。始めはさざ波のような小さな動きだったが、腹の中で暴れる稜而の雄蕊がクルミ大の敏感な膨らみを叩き、最奥を突き、内臓をじかに刺激されるうちに、その快感を追い求めてより深く稜而を飲み込もうと、稜而の腹へ尻を押しつけた。 「きもちいのん……きもち……。動いちゃう、勝手に動いちゃうのん」 「嬉しいよ、遥。俺を欲しがってくれて嬉しい。あげるよ、全部あげる! ほら!」 稜而は遥の腰を掴むと、いきなり強く速く突き上げ始め、遥は頭まで貫かれるような快楽に打ちのめされる。 「ああんっ! やあっ!」 「はあっ! 愛してる、遥っ!」 溺れそうな声を上げても追い詰める動きは緩まず、遥はふわふわとした声を上げた。 「りょーじ。もう……っ、いきたい」 「いいよ、一緒にいこう」 ベラドンナリリーが咲く鏡には、大きく背を反らして乱れる遥の姿と、その蕾を肉茎で力強く穿つ稜而の姿が映っていた。  遥も稜而も遂げることしか考えられなくなって、鏡に映る自分たちの姿を見ては快感に攫われて目を閉じ、また愛しあう自分たちの姿を見ては刺激されて喘いだ。 「あっ、あっ、稜而っ! りょうじっ! はあんっ! りょーじ……」 「ああ、遥。遥。はっ、あ。もう少し、もう少しだから」  遥は顎を上げ、眉尻を下げて金魚のように口を開けて喘ぎ、稜而は顎を引き、静かに思い詰めるような表情で遥を突き上げながら、波の到来を待った。  快楽は蓄積されていき、決壊してなだれるように全身へ広がって遥は絶頂を迎えた。 「はああああああんっ!!!」 身体を震わせ達した遥に誘われて、稜而も積み重ねた快楽を解き放った。 「あああっ!」  好き、大好き、愛してると、ソファの上で小鳥のようなキスを交わしていたとき、稜而が鏡を見て「あ」と声を上げた。 「どうしたのん?」 「鏡の前で、立ってしたかったのに忘れてた」 「あらーん。また次の機会になのん」 「うん、次の機会に。立って、遥」 稜而は遥を鏡の前に立たせ、まだ蕩けている蕾へ挿入すると、いきなり猛攻を開始した。 「ひっ! やぁん! うそーん! あっ、あっ」 「ねえ、鏡に手をついて。自分のイキ顔を見ながらいって」 後ろから突き上げられ、強引に鏡に対面させられて、遥は鏡にすがりつきながら再び絶頂へ駆け上がった。 「あーん、ばかなのーん! えっちっちー!」

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