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第172話*
乱れたベッドの上に逆戻りして、もどかしくバスローブの紐を解き合う。
レースのカーテンを通して差し込んでくる土曜日の朝の光の中で、二人はためらうことなく肌を晒した。
遥は稜而に肩を押されて仰向けに倒れ、覆いかぶさってくる稜而の背へ手を回す。
「遥……遥……愛してる」
首に稜而の額が擦りつけられ、鎖骨の上の薄い皮膚には稜而の唇が触れて吸い上げられた。痛みは求められる喜びと甘い痺れに変換されて、遥の身体に広がっていく。
「んっ、りょーじ……」
「週末は絶対、俺のところに来て。俺以外のヤツなんか相手にしないで」
肌の上に隙間なく唇を押しつけながら、熱く大きな手で胸をまさぐられた。
「俺よりいい男がいても、そいつのところに行かないで俺に教えて。俺がそいつよりいい男になるから」
まだ柔らかな胸の色づきを口に含み、舌先で掘り起こすようになぶられて、遥は稜而の頭を抱き、稜而の腰に足を絡めて身体を揺らした。
「はっ、あ、りょーじ……」
「擦りつけたくなった? いいよ、擦りつけて」
稜而の脚が遥の脚の間を割って入り、太腿で突き上げられて、遥はその太腿へ自分の昂りを押しつけた。
すりすりと腰を振る遥の耳に口を押しつけ、稜而は囁く。
「これからは遥にも、もっとしっかり一人エッチを覚えさせなきゃね。俺がいないときは、一人でするんだよ。動画に撮って俺に送って」
「やあん! えっちっちー!」
「俺にはさせるくせに」
「コロッケ食べちゃうからよー」
「浮気してない証拠に送って」
「浮気なんてしないのよー……んっ!」
遥の唇は稜而の唇で塞がれ、さらに熱くぬめる舌に口内を蹂躙されながら、胸の粒を揺さぶられた。
「んっ、んっ」
摩擦の先に絶頂があると知る身体は、擦りつけることを止められずに揺れる。稜而に庇護された下で遥はその痴態を全て見られながら次第に腰を振る速度を早めていった。
「出ちゃう……出ちゃうのん……」
「いいよ。俺に掛けて」
遥は下唇を噛み、夢中で腰を振って快楽の高まりを待った。
「あっ!」
一度堰を切ってからは為す術もなく、溢れ出る快楽に身体を波打たせた。
稜而は下腹部に遥の熱い粘液が掛かっては冷めてゆくのを感じながら、恍惚とする遥の緩んだ表情を観察する。
頬を赤らめ、乱れた呼吸を整えながら、遥は稜而の視線から逃れるように顔をそむけた。
「見ちゃいやーん」
「だぁめ。俺が見なくて、俺以外の誰が見るの? 遥にも見えないのに」
こつんと額をくっつけて稜而は笑い、遥も仕方なく笑った。
「今度は俺も一緒にいくから、俺の顔を見て」
「おーいえー! あーんってなってる稜而の愛おしいお顔をたっぷり見てあげるんだわー!」
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