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第174話*
遥が薬缶にお湯を沸かし、三つのマグカップにティーバッグの紅茶を淹れる間、稜而と店長は店の中を歩き回って話していて、買い物袋が二つも増えていた。
「何を買ったのん?」
「遥のランジェリーやコスプレ衣装だけど、それはまたいずれ」
稜而は中身は見せてくれず、男女の性器を模したたくさんのおもちゃや黒革の責め具、向こうの壁が透けるランジェリー、実用性重視のローションから実用性のなさそうなコンドームまで、ありとあらゆる性具に囲まれてお茶を飲んだ。
「さて、充電完了。動作確認してみて」
店長が遥の手にローターを手渡した。稜而がスマホを操作すると、アナル用のローターは細かく震え、さらにいくつかの操作によって首を回すようにうねったり、突き上げるように跳ね上がったりした。
ピンチタイプの乳首用ローターも振動の強さや間隔に違いがあるだけでなく、ピンチの先端が動いてつまんだ乳首をこねるような動作までする。
「きゃー! やっばいのーん!」
遥はローターを小鳥のように抱き締めて笑った。
「この店は商品を売るだけ。実際のプレイは店の外でやってくれ。またな」
「はいなのーん」
ニヤリと笑う店主に手を振って、遥は稜而と買い物袋を担いで歩き、近くの駐車場に停めてあった車に乗り込んだ。
稜而は運転席に座ると、助手席に座った遥の頬にキスをする。
「充電したおもちゃ、もちろん使ってくれるよね?」
「あふーん! よろこんでなのーん!」
「胸とお尻、どっちを先に準備しようか? お尻かな?」
遥のジーンズの前立てを緩め、背中の隙間からローションをつけた指を差し込む。
「んっ」
「俺に抱きついて、ゆっくり呼吸して」
遥が稜而の首に両腕を巻き付けると、後孔に侵入した稜而の指は柔らかく、柔らかく動いて、遥の身体を解していく。
稜而の指が抜けたと思ったら、入れ違いに稜而の身体とは違う質感のものが押し込まれてきた。
耳元に聞こえる稜而の呼吸は熱くなっている。
「一緒にたくさん楽しもう、遥……」
たっぷり塗りつけられたローションと、耳から伝播する興奮で、遥の身体はするんとローターを受け入れた。
「ああんっ!」
ゆっくり助手席に身体を戻され、自重でさらにローターを飲み込むと、作動させる前から内壁の膨らみに先端が触れていて、遥は呼吸を早めた。
「もうイッちゃいそう?」
稜而は状況に不似合いな爽やかな笑顔を遥に向ける。
「稜而の笑顔はずるいのん! 遥ちゃんが一人でエッチなふいんきなんだわー」
「そう? 俺もすごーくエッチな気分だけど」
遥の手は運転席にあるブラックジーンズのファスナーの上に導かれた。手のひらいっぱいに膨らみが伝わり、くっきりした輪郭を指で辿ると、稜而が熱い息を吐いた。
「手を動かさないで、遥」
「ふふっ。いっちゃってもいいのん」
「い・や・だ。これから遊ぶんだから、終わらせないで」
稜而はピンチタイプのローターを指先で持ち、遥のシャツの裾から手を忍ばせ、襟元から内側をのぞき込む。軽く摩擦して粒を尖らせてから、遥の表情の変化と見比べつつ、桜色の小さな粒をピンチで挟んだ。
「んっ!」
「どう? 遥の気持ちいいところを捉えてる? 痛くない?」
どの質問にも遥は頷いた。
反対の胸の粒も挟んで、それだけでも二人は熱い息を吐き、ゆっくりとキスをした。
全身に弱いけれど甘い刺激が絶え間なく流れ続け、遥はその刺激に膝をすり合わせながら、稜而の舌へ自分の舌を絡めた。
稜而は遥の舌を優しく吸いながら、手元のスマホを操作して、入力ボタンを押す。
「ひゃ! やあああん!」
左右の乳首がむず痒い刺激に苛まれ、遥は口を外し顎を上げて身体を震わせた。
「あんっ、ひゃあっ! 不意打ちずるいのん!」
「あんまり文句言うと、実力行使で何も言えないようにするよ?」
稜而は自分のスマホを小さく振って見せて爽やかに笑う。そのまま遥の身体を助手席に落ち着かせ、シートベルトで固定した。
「ゴールはどこに設定しようか?」
「あーん! えっちっちーなラブホテル! このまま家に帰るなんて、無理なのん!」
「俺も。この状況で親や近所の人に会うのは避けたい」
遥を喘がせたまま、稜而はスマホでラブホテルを検索し、候補の中から好きな部屋を遥に選ばせると予約して、目的地に設定した。
自分も運転席に身体を落ち着け、シートベルトを締めて、サイドブレーキを解除しようとしてから、「あ、そうだ」とスマホへ手を伸ばす。
「お尻はどんな刺激がいい?」
「ひゃあっ! いきなり激しいのはいやーん!!!!!」
遥の反応を見て03と入力すると、稜而は改めて運転席に身体を落ち着け、サイドブレーキを解除した。
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