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第176話*

 遥は稜而に支えられるようにして部屋に入った。  天井も壁も床も調度品も、全てがピンク色に統一されたドールハウスのような部屋で、猫足の大きなベッドに倒れ込む。  いかにもラブホテルらしいケバケバしさに喜ぶ余裕もなく、差し色の黒いリボン型のクッションに頭を載せた。 「さて。俺の遥を感じさせる生意気なおもちゃを見せてもらおう」  仰向けに寝た遥は、稜而の手で次々と衣類を剥ぎ取られていく。ジーンズを引きずり下ろされ、シャツを捲り上げられて、ローターに挟まれ赤く腫れた乳首に稜而の冷やかな視線が絡む。  続けて青リンゴ色のボクサーブリーフに手が掛かったが、その一点に稜而の指先が触れる。 「ん? 少し濡れてる?」 「やーん!」  下着も引き抜かれて、遥はローターに犯されている姿を稜而に晒した。 「さて。じっくり楽しもう」 稜而はテレビゲームを始めるときのようにスマホをコントローラーのように構えた。 「お、おてやらわかに、なのん」 「俺が『うん』って言うと思う?」 「言ってほしいのよ。だって稜而に本気を出されたら、遥ちゃんはあっという間に絶頂地獄なのん」 「絶頂地獄は嫌い? 気持ちいいことの連続なのに」 「嫌いじゃないけど、稜而とファックするところまで体力持たないのん」 「そんなペース配分はお気遣いなく。俺は遥がマグロでも屍でも美味しく頂くよ」 話しながら少しずつボルテージは上げられていき、遥は胸の粒を強制的に捏ねられて甘い痺れに眉間に力を込め、背を浮かせる。 「んっ、んっ……あんっ! あんっ、あんっ!」 与えられる規則正しい振動とリンクして声を上げるていたら、稜而に顔をのぞき込まれた。 「こんな小さなおもちゃにいいようにされて、恥ずかしいって思わないの? いやらしいね遥は」 「あーんっ! 言葉責めもあるのん!」 「肝心のお尻責めがまだだった」 スマホをタップすると、腹の中でローターが暴れ出し、遥は悲鳴をあげ、下腹部全体が痺れるような刺激にピンク色のベッドスプレッドを蹴った。 「今、どんな感じ?」 稜而は優しく前髪を撫でながら訊く。 「稜而にバックからファックされながら、乳首をつままれてるみたいなのん。おちんちんもむずむずで、でも触らないでいっちゃいそう」 「遥の好きなやつだね。このおもちゃだけで、ちゃんといけるか確認させて」 稜而はさらにスマホをタップし、ボリュームをスライドして強め、遥はさらなる刺激に全身が熱く痺れて、全身を仰け反らせた。 「稜而、稜而……っ」 どろりとしたマグマのような熱が腹の底からせり上がって追い上げられる。遥はクッションを掴み、強く目をつむった。 「はああああんっ!」 空中へ身体を放り出されるような快感に身を躍らせて、二度三度と全身を強く硬直させてから、遥の身体は弛緩した。 「可愛い。遥がいく姿は俺だけのもの」 稜而は満足気に笑って遥の頬にキスをしながら、ようやくローターを外してくれた。 「つ、疲れたのん……。ビデオにご出演なさる俳優さんは、皆さん体力勝負なお仕事って思うのよ……」 深いため息をつく遥の頬にキスをして、稜而大きなジャグジーバスに熱めの湯を溜めた。 「♪バラァァァのぉ、はなびぃらがぁぁぁぁ! おゆにぃぃぃぃぃ、ちったよなぁぁぁぁぁ♪ バラの花びら型の入浴剤なのーん!」 はらはらと撒くとすぐにジャグジーの渦に飲み込まれ、溶けてピンク色の液体になる。その泡の真ん中をぷかぷかと浮き沈みするのはローションのボトルと葛湯を固めたようなぷるぷるのオナホールで、遥は稜而の足の間に座りながら、キャーキャーと歓声をあげてオナホールを手に握る。 「次は稜而の番なのーん!」 稜而は手のひらで顔に着いた雫を払い落とし、苦笑しながら濡れた前髪を吹き上げた。

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