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第185話*ー国内留学・留守番編ー

 挨拶回りを終えて帰宅し、ダンボール箱の中身を次々開けて、おばあちゃんとお母ちゃんの作ったご飯を食べ、風呂に入って早々に布団へもぐりこんだ。離れの六畳間に新しく買った布団を二組並べて敷いて、一緒にプリント合板の天井板を見上げる。 「遥ちゃん、数えてみたんだけど。今まで稜而と72時間以上離れたことないのん。一番長くて整形外科学会大会の二泊三日だけど、稜而が帰ってくるのを待てないで、遥ちゃんが学会の会場近くまで車でお迎えに行ったから、実際に離れていたのは60時間ちょっとなのん……」  遥は、うんしょ、うんしょと芋虫のように身体をくねらせて自分の布団から脱皮し、稜而の布団へ潜り込んだ。 「遥ちゃんが入学式で『甘木医大へようこそ』ってご挨拶するお役目がなければ、もっと一緒にいられるのに」 遥は伸び上がり、稜而の頬にキスをした。稜而が遥の顔を見ても、遥は逃げずに稜而の瞳を見つめ返していて、稜而は小さく嗤う。 「あんまり近くにいると、食べちゃうぞ」 「EAT MEなのよ。食べたらおっきくなっちゃうのん」 「じゃあ、遠慮なく」 稜而はあーんと口を開け、かぷっと遥の唇に噛みついた。そのまま上唇を稜而の口の中に吸われ、遥は稜而の下唇を吸って、互いの柔らかな唇に舌を這わせる。  二人は鼻に掛かった甘い声を上げながら、さらに刺激を求めて舌を絡めあった。 「ん……」 「……はあ」 酸素を求めて喘ぎ、再び唇を重ねて舌を通わせる。遥は舌を吸われて、舌の裏に稜而の舌の表面のザラつきを感じ、歯列を舌先で辿られて肩のあたりまでくすぐったくなった。  目を閉じて快感を積極的に味わい、稜而の腰に足を絡めると、ぐっと稜而の昂りが押しつけられる。 「ふふっ、おっきくなったのん」  笑う遥に笑顔を返し、再び口づけながら遥のパジャマのボタンを外していく。 「見てもいい?」 耳元で囁かれて、遥は肩を竦めた。 「やーん、訊かれたらえっちなふいんきなのん」 「『えっちなふいんき』は嫌いだっけ?」 「大好きよ。もっともっとくっつきたいわ」  遥は稜而の首にしがみつき、稜而は耳元でキスの音を立てた。 「そんなにくっついたら、何もできない」 そっと遥を引き剥がす。パジャマの前を開き、露わになった白い胸の色づきに稜而は口を寄せた。 「ん!」  遥の身体に甘い疼きが広がる。震える身体から振り落とされない強さで稜而は吸いつき、小さな粒を舌先で転がした。 「はあっ、ん……」 稜而の硬い髪に両手を埋め、与えられる刺激を甘受する。次第に身体は刺激で満たされ、溢れそうになってきた。 「いっちゃう、りょーじ」  稜而はひくひく跳ね上がる遥の身体を押さえ込み、子どもに言い聞かせるように丹念に遥へ刺激を与え続けた。遥の身体には快感の潮が満ちて、堤防を越えるように溢れ出た。 「ああ……っ、あああーっ!」 無防備に達する時間を稜而の腕の中に匿われて過ごし、身体の力が抜けて稜而の腕の中に着地する。稜而は遥の髪にキスを繰り返しながら、反対の胸を指先で捏ね始めた。  遥の身体の中にはまた疼きが生まれ、快楽の満ち潮に耐えるために稜而の肩へ額を擦りつける。  ひたひたと水位が上がってくる楽しみに耐えきれなくなって遥は稜而の口へ自分の口を押しつけた。舌を差し込むと柔らかく絡めとられ、そのままきつく吸われて舌の付け根に軽い痛みと快感を覚える。  キスで気を紛らわせている間にも胸の粒をつまんで揺らされ、左右にくりくりとねじられて、胸に意識を戻す頃にはまた快楽は溺れそうな水位に達していた。 「ん……」  顔を赤らめ、困ったような表情で稜而を見上げると、稜而は遥の頭を胸に抱いた。 「いいよ、いって」 きゅっと強めにつままれた合図で、遥は再び絶頂へ駆け上がった。 「んんっ、はぁぁぁぁんっ!」  ふわふわと白い闇を彷徨い、目を開けると稜而が遥の顔を見ていた。 「やーん。あはーんってしてるところを見られちゃったのーん」 「いい顔だったよ。全部見た」 「えっちっちー! 遥ちゃんも稜而のあはーんってお顔を見てやるのんっ!」  遥は稜而と身体の向きを入れ替えて馬乗りになると、稜而の身体からパジャマも下着もすべて取り去った。さらに遥も全部を脱いで改めて覆い被さった。  稜而の顔中に唇を押しつけ、くすぐったがって笑うのを無視して首筋、鎖骨、肩、胸と唇を滑らせていく。臍の窪みに舌先をそっと差し込み、感じやすい場所は避けて太腿からつま先までキスをして、太腿の内側の皮膚を強く吸った。 「ふふん。浮気はできないのん!」 「する訳ないだろ。俺の心も身体も全部遥に支配されているんだから」  遥は稜而に抱き上げられるようにして、その腰に跨った。 「おーいえー! 支配してやりますのよー!」

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