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第17話*
胸の上で目を閉じている遥の背骨の数を数えるように、稜而は少しずつ手を滑らせていく。
「ん……、くすぐったい」
目を閉じたまま遥は笑う。
「くすぐったい?」
言葉をオウム返しにして、遥の前髪にキスをしながら、稜而は目指す場所へそろそろと手を動かした。
辿り着いた場所は、稜而の両手にすっぽり収まる大きさで、成形前のパン生地のように柔らかく、しかも弾力があった。
稜而は手のひらでそっと撫でまわす。
「ずっと触っていたくなる」
「いいよ、いっぱい触って……。稜而が触りたいだけ、触って……」
とろりとした遥の呟きに、稜而は思わず息を吸って目を閉じた。
「遥……」
胸の上にいる遥を抱き締め、ゆっくりと深呼吸をする。
「稜而、どうしたの?」
「煽られて暴走しそうになったから、深呼吸」
「何でぇ?」
遥はころころと笑って稜而の顔を見上げると、その顎にキスをしてから、身体を起こした。
「気に入ったなら、いくらでも触っていいのに。はいっ!」
身体の向きを変え、稜而の身体を跨いで四つん這いになった。顔の前に遥の白くて丸い尻が迫る。
「マジか……」
「そのかわり、オレも稜而の美味しいところ、頂いちゃうよーん」
ジーンズを脱がされ、布一枚を隔てただけで、遥の指と唇が触れていた。
「うっ、はるかっ」
「ふふーん。おっきくなってるー! 硬いよー」
指先や手のひらで撫でまわす感触だけでなく、ちゅっ、ちゅっ、とキスする音も聞こえて、稜而はまた深呼吸を繰り返す。
「ねー、稜而。触ってーん」
くいっとお尻を振って見せられて、稜而は双丘を鷲掴みにし、さらに割り開いた狭間へ鼻先を押し込んだ。
「え、やっ、ちょっと。……やーん! 稜而、そんなところに顔をくっつけちゃダメ!」
「うるさい! さんざん煽ったくせに」
顔を埋めたまま、くぐもった声で遥に口答えして、稜而は双丘を存分に揉みながら、食い込んでいるTバックショーツのラインに沿って舌を這わせた。
「はっ、ああ……。稜而っ」
窄まりを探り当てると、稜而はショーツを除けて、直接舌先を差し込む。
「やあん、稜而ぃ。そんなところ、ダメなのぉ! きたないところだよぉ! ……ねぇ、楽しめないから、本当にヤダぁ」
稜而は素直に口を離すと、ベッドの端に置いていたポーチを手繰り寄せ、中から取り出したコンドームを一つ遥に渡す。
「俺につけて」
「いいよ、甘えんぼさーん! はい、パンツ脱いでーっ! あーん、アンダーヘアがふわふわ! 超、日本人男性って感じー!」
はしゃぐ遥のショーツも、サイドのリボンをするりと解いて脱がせる。遥の髪色より少し濃い目なミルクティ色のアンダーヘアは、短くトリミングされていた。
「学校でも病院でも、衛生面を考えてトリミングするようにって言われるんだー」
説明を聞きつつ、稜而は狭間へローションを塗りたくり、コンドームを縦に裂いて一枚のシートにすると、遥の蕾へ貼り付けた。
「これなら気にならないだろう」
即席のデンタルダムをあてた上から、稜而は容赦なく舌を這わせ、舌先をねじ込んで蕾を割り開いた。
「あああっ、稜而っ。ひいっ、ああっ……。ああん、んんっ、稜而ぃ」
遥の声が甘くなって、コンドームをかぶせた稜而の硬さに縋りつくようにして喘いでいた。
舌だけでなく、指も使って丹念にほぐし、差し込んだ指で内壁を探り、胡桃大のしこりを見つける。
「きゃんっ!」
指の腹でそっと突き上げるように撫でると、遥は稜而の硬さにしがみついたまま、少しずつ甘い声を出し始めた。
「ああ……ん……。やあん、はあんっ。あっ、あっ、あっ。……ああ、待って、稜而。変な感じがしてきちゃった。ああんっ。あ、あ、ああ、マグマがはじけそう……あっ、あああああっっっ!!!」
遥は背骨がきしみそうなほど仰け反って、絶頂を味わった。
「指だけでいったのか? たくさん練習してきた?」
自分の腕の中へ遥を抱いて、キスを繰り返しながら質問した。
「練習なんて……。ちょっと指先で触ったくらい。むずむずしたけど、それだけ」
「ふうん。でも、お尻だけでいくなんて、いやらしくて最高にいい」
「そう?」
稜而はうんうんと頷き、遥の耳に口をつけて囁いた。
「俺のコレでも、いってくれる?」
遥の手を掴み、自分の高ぶりへ導くと、遥ははにかんだように笑いながら頷く。
「稜而が、いかせてくれるんだよね?」
「もちろん」
キスを交わすと、稜而は遥を横向きに寝かせ、膝を抱えさせた。
「リラックスして、ゆっくり深く、口で呼吸をして」
「病院みたーい。座薬入れるつもり?」
「似たようなもんだ」
稜而は笑って、たっぷりローションを塗り、自分の指を埋めて行く。菊の蕾が水を吸ったコットンのようにふっくらと柔らかくほぐれるまでマッサージしてから、慎重に指を増やす。
「痛くない?」
「ん、痛くない。……あンっ」
「もっと声を出して、俺を煽って」
また内壁のふくらみへ悪戯をして、遥は身体を震わせる。
「ああんっ、稜而ぃ……。もう、もう……。ダメ、ああ、あっ、……はあああああああっ!!!」
絶頂を迎えてぼんやりしている遥を仰向けにし、その細い脚の間に自分の腰を入れた。
遥が薄膜で覆ってくれたところへローションを塗りたくり、照準を合わせる。
「いい、遥?」
「うん。あっ、ああ。入ってくる……。入ってくるの……、稜而ぃ」
信管を扱うようにそっと遥の体内へ押し進め、根元まで収めて稜而はほっと息を吐いた。
「全部入った……。温かくて気持ちがいい」
遥の顔の両脇に手をついて、目元から頬にかけて薔薇色に上気させている顔を見下ろす。
「遥、動いていいか?」
遥は頷き、稜而は注意深く遥の表情を観察しながら、少しずつ腰を揺らし始めた。
「あん……、稜而。んっ、はあん……。稜而……、稜而っ」
遥は顔を左右に振って、ミルクティ色の巻き髪を波打たせながら、鼻に掛かった甘い声で稜而の名を繰り返す。
「遥……っ! ごめん、止まらないかも……っ」
稜而は本能に駆られ、規則正しいリズムを刻み始めた。
繋ぎ目から発生する甘い痺れが、二人の身体を駆け巡る。二人は次第に呼吸が早くなり、目を閉じて顔を上げて、眉間に力を込めながら、顔の下半分はだらしなく力が抜けていく。
「あっ、稜而っ、稜而っ、あんっ、あんっ、あっ……」
「遥……っ、くっ」
体内にマグマのような熱が溜まり始め、その熱は次第に大きくなっていく。
「あんっ! もう、もう……、稜而……っ、いっちゃう、いく、いく……」
「我慢しないでいっていいぞ。俺も……っ! ああ、出そうだ……。出そうだっ。遥っ! 出る、出るっ!」
「稜而っ!」
稜而の腰は勝手に跳ねて、己の粘液を遥の体内奥深くへ送り込もう、送り込もうと突き上げるような動きをする。遥の身体は稜而の芯に絡みつき、搾り取るように蠢いて、二人は大きく声を上げた。
「あ、遥っ、あああっ!」
「稜而ぃ!!!」
白くて濃い霧の中へ意識が吸い込まれ、浮遊して、再度周囲の景色が見えるようになったとき、遥は倒れ込んできた稜而を抱き止め、稜而もまた遥をしっかりと抱き締めていた。
遥は頬や首筋に稜而からのキスをたくさん受けながら、ゆっくり呼吸を整え、笑顔になった。
「やっばい。セックスって、ちょー、楽しー……」
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