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第32話*
「あんっ、もうっ、言いがかりっ、なんだよっ! オレの、何が、気に、食わないのか、知らない、けどさっ! ……んっ、はんっ、んんっ!」
遥は夜の寝室で、稜而の腰に跨って白くて丸い尻を上下させながら、予備校での出来事をぶちまけていた。
稜而は遥の尻を撫でまわし、文句を言う遥の一糸まとわぬ姿を鑑賞しながら、遥の愚痴に相槌を打つ。
「額を打って、喧嘩を売られて、ストレスが溜まる一日だったな」
「あんっ、そうだよっ! セックスでもしなきゃ、やってらんないのっ! はあん、もうだめ。ああん、いっぱい動いちゃうぅぅぅ!」
欲望のまま、足の裏をしっかりシーツにつけ、膝を開いて力の限り腰を振る遥の姿に、稜而は眩しそうに目を細め、眉間に皺を寄せて快楽に耐える。
「ああ、遥……。いきそうだ」
「オレも。オレも、いきたい……っ、はあんっ! 一緒にいこ……」
二人は互いに指を絡めて手を繋ぎ、キスを交わすと、あとはひたすら繋ぎ目を揺らして刺激して、快楽が訪れるのを待った。
寝室には言葉にならない声と呼吸だけが響き、その声は次第に瀬戸際まで追い詰められるような声へ変化した。
「あんっ! いくっ、いくっ! 稜而いいいいいっ!」
「俺もいくっ、……っはあっ! 遥っ! くっ、はあああっ!」
一足早く遂げていた遥は、ふわふわと快楽の海を漂っているところを、あとから遂げた稜而に激しく突き上げられて二度目の絶頂を迎え、稜而の放出が終わると、汗で湿る稜而の胸の上へ倒れ込んだ。
遥の耳のすぐ向こうに、稜而の力強い鼓動が聞こえ、髪を撫でてもらって目を閉じた。腰周りに甘く痺れる余韻があって、それも心地いい。
「ああ……」
稜而が遥の尻を撫で回しながら口を開いた。
「どうしたの?」
「……ええと、もう一回、いいか?」
「うっそーん!」
「ごめん。我慢できない!」
稜而は言うが早いか体勢を入れ替えて、うつ伏せにした遥の腰を抱え込み、己の楔を真っ直ぐに穿つ。
「ああ、遥。止まらないっ!」
ふわふわとした丸くて小さな白い尻に、稜而は力の限り、自分の腰を打ちつける。
己の楔が遥の身体を穿つ様子を見おろして唇を舐め、激しい律動に声を上げる遥の身体を背後から抱えて、慰めるように左右の胸の粒を摘んで揺らし、脚の間で揺れている遥のシンボルを手の中へ包み込んで責め立てた。
「あーんっ! 前はナシにして。後ろだけがいいのー」
「尻だけでいきたいなんて、変態だな」
「はっ、ああんっ、い、いいのっ! あんっ。あんあんあんあんあん……、稜而が一緒にしてくれるから、いいの! やぁん、またいっちゃう」
「何度でもいけばいい。まだ終わらせないけど」
「はぁん!」
一度爆ぜている稜而の身体は、上り詰めるまでに時間の余裕があり、遥はこの間にいいだけ擦り上げられ、突き上げられて、何度も絶頂を味わわされた。
「もお、無理ぃ……、許して……ぇ」
泣きを入れる遥を仰向けに寝かせ、脚の間へ改めて腰を進める。
遥の顔の横に両手をついて見下ろすと、稜而はその目を真っ直ぐに見て言った。
「好きだ」
「え? 稜而?」
「ごめん、セックスの最中に言う台詞じゃなかったかも。今度また、ちゃんと言う」
「稜而……、好き」
遥が両手を伸ばすと、稜而は笑んで遥の胸に倒れ込んできた。
稜而はそのまま遥の腕の中で身体を揺すり、遥を強く抱き締めて爆ぜた。
遥は荒い呼吸を繰り返す稜而の湿った髪に頬を寄せた。
「気持ちがぽかぽかなのん……」
「俺、カレーだけは作るの得意なんだけど」
風呂の中で脚の間に座る遥の髪を洗いながら、稜而は言う。
「カレー?」
稜而はうんうんと頷いた。
「今度の休みにでも、もしよければ建志くんと論くんを昼食に招待したらどうかと思って。まだ後期が開講したばかりの、たった三人しかいないクラスで、いつまでも気まずいのはお互いにやりにくいだろ」
ざあっとシャンプーを洗い流し、毛先から丁寧にトリートメントをつけてやりながら、稜而はホームパーティーを提案した。
「カレーを食べて、好きな映画を借りてきて観るだけでも、時間を共に過ごして親睦を深める有意義な時間になると思う」
「わーい、カレーパーティー!」
遥は肩を交互に前に出して揺れながら歌い始めた。
「クミン、シナモン、ローレル、クローブ、オールスパイス、コリアンダー、セブンイレブン、負けない、カルダモン! ひらけふーたー、よくまぜーてー、できあがったらー、カレー!」
稜而は楽しそうに歌う遥の様子に目を細め、そっとトリートメントを洗い流した。
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