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第39話*
「おーんなのことちがう、おとこのこって! じゅーんびがひつようなの、いろいろあるの! でもあいしあうのは、たのしくて、すてきなことなの、ほんとうよっ!」
ポトフの鍋がかかるIHヒーターの火力を弱め、コロッケのタネを冷蔵庫へ入れて、二人は交互に鍋の番をしつつ、バスルームや寝室を歩き回った。
「そーうーよ、はるかちゃんの、ハートは、りょうじーのこーとで、いーっぱいーなの! ゆーめでエッチすることもでーきーる! そのくーらいすきーよ、そのくらーいに、すきなの! すきなの! すきなの!」
キッチンに戻った遥が歌っていると、ふわりと背後から抱き締められた。
「歌うほど、好き?」
温かな息が耳に触れてくすぐったく、遥は首をすくめて笑った。
「うん。大好きなのん。ときどき胸がきゅーってなるのよ。一緒にいて嬉しいのに、きゅーってするの」
遥は胸の上に両手を重ねた。
「そんな告白を聞いたら、俺の方がきゅーっとなる。大好きだ」
「あーん、両思い! 言葉だけじゃなく、身体で確かめる?」
「もちろん、そのつもり」
稜而の手がシャツの裾から忍び込み、いきなり胸の粒を引っ掻く。
「あんっ」
遥の身体は震え、シンクのふちに掴まった。
「逃げないで。もっと気持よくしてやるから」
反対の手もシャツの中へ滑り込ませ、同時に二つの胸の粒をなぶる。
「あん、ああ、はあんっ! 気持ちいい……っ」
身体をよじっても、少し逃げても、刺激する手は追い掛けてきて、甘くくすぐったい刺激が腹に溜まっていく。
「ンっ、稜而、稜而……っ」
声が高く上擦ってくると、きゅっと粒をつままれて、遥は軽やかに頂点へ達した。
「胸だけでいくなんて、遥は相変わらず変態だな」
甘い声とキスでからかいながら、遥の耳を唇で挟み、舌を這わせる。
「大好きだ、遥……」
「あーん、嬉しい!」
「なぜか、セックスしてると言いたくなる。こういう言葉はもっと落ち着いて、真面目に言うべきだと思うのに」
遥の首筋へキスを繰り返しながら、稜而は首を傾げる。
「あーん、言えばいいの! 真面目なときにも同じだけ言ってくれたらいいのよ」
「そんなことをしたら、会話の大半が『好き』と『愛してる』で埋まるぞ?」
「いいのよー! 愛し合う二人なら、そんな会話も素敵!」
「照れくさいな」
「ペニス勃たせて腰振って、おーいえー! ってするよりは恥ずかしくないのよー」
「そう言われると、そんな気もする」
稜而は遥の耳元でふわりと笑うと、「愛してる」と囁いた。
「ああ、遥。本当に大好きだ……」
稜而は上擦った声で言いながら、遥の身体を撫で回し、ジーンズと腰の隙間へ熱く湿った手を差し込む。
「お尻フェチ!」
「遥の尻には誘われる」
「お尻だけの人形でも買う?」
「この尻に、遥がついていてこそ、価値がある」
「やーん、メインはお尻なのーん!」
「尻の間にはロマンがあるし、このふわふわには夢が詰まってる」
「どんな持論!」
遥が笑って油断している間に、ジーンズは脱がされて、スカイブルーのシンプルなTバックショーツを穿いた尻が現れた。
稜而は床に膝をつき、顔の高さに遥のパン生地のような尻を見て、溜息をつきながら撫で回す。
「本当に……いい……。今度、俺にも下着を買わせてくれ」
左右の尻を揉みながら、狭間に鼻先を埋めて、ショーツのラインを舌で辿った。
「あんっ、買って。エッチなのがいい!」
「一緒に買いに行くか?」
ショーツの紐を引き上げ、遥の狭間に食い込ませる。
「あん、あん、素敵なデート! 自分たちはエッチな下着を着てセックスを楽しんじゃう、ラブラブカップルですって、幸せアピールなのん!」
遥は爪先立ちして食い込むショーツから逃れつつ、ミルクティ色の髪を揺らして笑った。
するりとショーツも脱がされ、肌を滑って丸まった布は稜而の手の上に小さくころんとまとまった。
「こんな小さな布だけで遥が普通の顔をして歩いてると思うと……、もっと穿かせたくなる。やっぱり買おう」
稜而は決意してから、自分の指先にローションをとって、遥の秘所へ塗りつけた。
「ああんっ!」
遥の声に身体を震わせたのは稜而の方だった。
「気持ちいい、遥?」
訊ねる声は上擦っていて、蕾の中まで指を潜ませ、快楽の源泉を探りあてて、撫で上げた。
「はっ、ああんっ! 稜而、稜而っ!」
シンクの縁に掴まって爪先立ちで逃げようとする遥の腰を引き戻し、たっぷりと快楽を味わわせる。
「い、いく……っ、いっちゃう。稜而っ、稜而ぃ、あああああっ!」
遥が稜而の指を食い締めながら全身を硬直させ、崩れ落ちてきて、受け止めた稜而の腕の中へ収まる。
「気持ちよさそうな顔」
バラ色の頬にキスをされて、遥は目を伏せ、肩を竦めて笑った。
「俺も遥の中で気持ちよくなりたいな」
甘えた声に頷いて、遥は稜而をキッチンスツールへ座らせる。床にぺたんと座り込み、そっと稜而の高ぶりへ手を重ねて形を辿り、ジーンズの前立てを開けて下着越しにキスをしてから、そっと布を引き下げ、猛る姿を露わにした。
ちゅっと音を立てたキスをされて、稜而は身体を震わせ、小さく笑う。遥も一緒に微笑んで、稜而と視線を合わせたままドレンチェリーのように赤い口を開けて、ゆっくりと先端を口に含んだ。
「遥……」
口内の熱と柔らかな粘膜との摩擦に、稜而は遥の肩を撫でながら天井を振り仰いだ。
さらに細い指を絡めて素早く摩擦され、稜而は喘ぐ。
「ああ、遥。待ってくれ……っ」
遥は稜而の反応にいたずらっぽく目を細め、さらに口と手で刺激を強める。
「っ、遥。……ああ、遥っ」
陥落直前、遥はぱっと手と口を離した。
「へっへーん! いかせなーい!」
「え……? お、お前……なあ……」
寸止めされた稜而は大きく息を吐いてから、遥の髪をくしゃっと撫でた。
「遥ちゃんの中でどうぞなのーん!」
顔を突き出して笑い、稜而がその口へキスをすると、遥は稜而の硬さを薄膜で覆い、手のひらで温めたローションを塗りつけた。
遥は濡れた手を無造作にエプロンで拭うと、きゅっと稜而へ尻を向ける。
「いたずらっ子め。おしおきだ」
稜而が笑いながら遥の腰を抱え、スツールに座る自分の屹立の上へ座らせる。
「あーん、ご褒美なのーん!」
「ばか」
「お互い様ー!」
「その通りだ」
二人は笑いながらつなぎ目を揺すって、熱が高まるのを待った。
「はあん。一緒にこんな気持ちいいことできるの、いいね」
「ああ」
キッチンにはポトフの煮える音と、肌がぶつかる音、つなぎ目からの粘り気のある水音、二人の早まる息遣いが静かに響く。
「はあっ、稜而。稜而……っ」
「俺も一緒にいく。待って」
「あ、あ、無理……ぃ」
腰を掴んで激しく揺さぶられ、耐えきれずに達した遥のあとを追って、稜而も遥の体内で爆ぜた。
「あああっ、遥っ!」
ピークを過ぎて、少しずつ冷える頭と身体を互いの腕の中に抱き合う。稜而はミルクを求める仔猫のように鼻先で遥を突きながらキスを繰り返していた。
「あーん。バカな子ほど、愛しいのーん」
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