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第54話*
「遥」
「なーに、キャベツぅ?」
稜而は腰に遥を跨らせたまま、上体を起こし、遥をしっかり抱き締めた。遥には稜而の体温と、大好きな日向ぼっこの匂いが伝わる。
「ごめん、これはまだプロポーズじゃない。プロポーズをするには、環境が整ってないから。でも、家族として、兄弟として、俺は絶対にお前を護るし、絶対にお前の手を離さない。それから、……一緒にたくさん笑って過ごすぞ!」
「おーいえーっ!!! 人生は、楽しんだもん勝ち、笑ったもん勝ちなのよー!」
遥は稜而の腕の中で、小さくぴょんぴょんと飛び跳ねた。
「俺もそう思う! ……うおりゃっ! お前の可愛いお尻を見せてみろっ!」
遥の唇へ素早く音を立てたキスをして、軽い身体を持ち上げ、ベッドの上にうつぶせに転がす。その背中へ覆いかぶさって、自分の繊細な場所を遥の尻に押し付けながら、きゃあきゃあ笑う遥の頬へキスをした。
「改めて言っておくけど、お前の兄貴は尻フェチだぞ」
「大歓迎なのーん! 弟ちゃんのふわふわお尻で、めろめろぱんちしてあげるのよー!」
遥は仰向けにされ、若草色の瞳で稜而を見上げる。稜而はさらりと前髪をこぼし、漆黒の瞳で遥を見返した。
「キスして、稜而」
ドレンチェリーのように赤い唇に重なってきた唇は、始めふわふわと柔らかく、次第に意思を持って遥の唇を啄む。遥も一緒に唇を動かし、稜而の唇を挟んで、ぬるりと入り込んできた舌に、舌を絡め取られた。
「んっ」
滑らかな感触に目を閉じていると、温かな手が赤いボレロの下へ滑り込んできて、きゅっと胸の粒を摘まむ。
「んんんっ」
声は口で塞がれ、逃げ場がないまま揺すぶり、捏ねられて、遥は甘い痺れに身体を震わせ、耐えきれずに達した。反対の胸も同じようにされて遂げると、まだぼんやりしている遥の顔を覗き込んで稜而は訊いた。
「尻、触ってもいい?」
余裕のない表情に、遥は口を大きく開けて笑う。
「もちろんどうぞなのよ! 遥ちゃんのお尻に溺れちゃえなのん!」
遥が自らうつ伏せになり、膝を立てて、赤いTバックショーツを穿いた尻をふるんっと突き出すと同時に、稜而は猫がおもちゃを捕らえるようにぴょんっと腰に抱き着き、尻の狭間へ顔を埋めた。
「最高だっ!」
発酵したパン生地のように柔らかな感触へ、顔全体を擦りつけるような頬ずりをし、むしゃぶりつくようなキスをして、ときどき舐める。
「くすぐったいのーん!」
遥が笑うのに構わず、稜而はふわふわした感触を楽しみ続けた。
「やばい。あまりにもいい尻すぎて、我慢できなくなってきた……」
真面目に呟く声に、遥はまた笑う。
「遥ちゃんがサービスしてあげるー!」
振り返った遥は、稜而を軽く突き飛ばして仰向けにした。
「お料理の時間よー! ♪ちゃっちゃらちゃらりら、ちゃっちゃっちゃーん、ちゃっちゃらちゃらりら、ちゃっちゃっちゃーん♪」
歌いながら稜而が身に着けているネルのパジャマとローライズのボクサーブリーフを引き剥がす。
「『エッチな気持ちになったとき、弟がいると役立ちますよね。今日はいつも代わり映えしない弟をクリスマスバージョンで、極上の味に変身させていきます!』『先生、よろしくお願いします!』『はい、ではまず最初にローションを適量手に取って、塗り込んでいきます。お兄さん、お手伝いお願いしますねっ!』」
「は、はい……」
稜而は指先にローションを受け、肩を跨いで突き出された遥の尻のTバックをずらしながら、目指す場所に塗り込んでいく。
「あんっ! そ……、『その間に、マグナムくんを捏ねて、舐めて、しっかりビッグにしていきましょう!』」
「う……っ! あんまり本気出さないでくれっ」
稜而は呻き、遥はニッコリ笑う。
「『ビッグマグナムになったら、薄い膜でぴったり覆っていきます。このとき、空気が入らないように気をつけましょう。空気が入っていると、途中で破けることがありますからね!』」
慣れた手つきでするすると膜で覆うと、遥は四つん這いで稜而の足のほうへ移動し、腰の上に跨った。
「『下拵えはこれで終わりです。どうぞクリスマスバージョンの弟くんをお楽しみください!』」
遥は稜而に背を向けたまま、短いスカートをたくし上げ、うさぎのしっぽがついたTバックショーツを少しずらして、稜而の屹立の上に座り込んだ。
「あ、んっ。稜而……っ」
遥は眉根を寄せ、顎を上げながら、ゆっくり上下に尻を動かした。
「うわっ、遥……」
稜而は、サンタクロースのコスプレをしながら動く遥の尻と、その狭間を貫く自分自身の姿に、目を釘付けにしながら喘いだ。
遥の動きは次第に速くなり、甘い喘ぎ声は断続的になって、稜而は遥の腰を掴んで激しく揺すぶった。
「あんっ、ああっ、ン、稜而……っ、稜而っ!」
遥はミルクティ色の巻き髪を振り回し、稜而も身体を跳ね上げて、稜而が強く突き上げたのをきっかけに二人はほぼ同時に極まった。
「お前、なぁ……」
胸の上に倒れ込んできた遥を抱き止め、稜而は湿った髪にキスを繰り返しながら苦笑した。
「いいのん。稜而と一緒に笑ったら、遥ちゃんは元気になるのよー。今年も来年も、ずっとずっと一緒に笑いましょうなのん」
顔を上げた遥の唇に、稜而は笑いながらキスをした。
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