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第72話*
二人揃って横向きに寝て、稜而は背後から深く繋がったまま、遥の肌へ手を滑らせ、まだ湿り気の残る髪を鼻先で掻き分けて遊んでいた。
「稜而、くすぐったいのん……」
背後にいる稜而のフェイスラインを指先で辿りながら遥は笑う。
稜而はその白く細い指が口の近くへ来ると、その指先を軽く歯を立てて咥える。
「あむっ」
「うふふ、痛いのん」
「食べちゃうぞ。あむあむ」
「あーん、食べて、食べてー! 遥ちゃんは稜而のおかずなのー!」
笑う遥の頬にキスをして、今度はその頬に向けて大きく口を開け、噛みつく真似をする。
「ほっぺも食べちゃうぞ。あむあむ」
稜而にじゃれつかれて、遥は肩を震わせて笑う。
「もっともっと、私を食べて、なのん」
「そんなに可愛い声で言われたら、全部食べたくなる」
稜而は首筋に舌を這わせ、そのまま肩まで辿ると、鎖骨の終点で肌を吸った。
「赤くなったかな? ……もう一度」
ぎゅうぎゅう吸って、遥の白い肌に皮下出血を確認すると、今度はその傷を癒すようにぺろぺろと舐めた。
「ふふふ。キスマーク、えっちっちーなのん。遥ちゃんは稜而のものなのよー」
笑っている遥の胸の粒を稜而の指先が捉え、つまんでくりくりとねじられる。
「遥は俺のもの」
「んっ、ダメ……っ」
「気持ちいいからダメは聞かない」
「んっ、んっ、はあ……っ、はあん、変になっちゃう……」
「声を出さなければ、いくらでもどうぞ」
遥の腰に脚を絡めて深く押し込みながら、さらに刺激を強め、遥は両手で自分の口を塞ぎながら、稜而の指の動きに呼応して身体を震わせ、しばらくすると全身を硬直させて、ふわりと弛緩した。
「いっちゃった?」
からかうような稜而の問いに、遥は素直に頷いて、背後にいる稜而の腰へ手を這わせる。
「どうしたの、遥?」
とっておきの甘い声で耳に囁くと、遥ははあっと熱っぽい息を吐く。
「もう、もう、むずむずが限界なのん。稜而とふりふりして、あーんってなりたいのよ……」
「すごい中がうごめいて、絡みついてくる。我慢できなくなっちゃった?」
甘ったるい声で問われ、遥はこくこくと頷いて、稜而を咥えた尻を、稜而の柔らかな茂みに擦りつける。
「あんまり動くと、ベッドが軋むぞ」
「でも……、もう、もう、無理なのん……」
「しょうがないから、床の上で、立ったままする? ますます変態みたいになるけど」
「あーん、素敵。駅弁ファックにチャレンジよー」
稜而は小さく笑い、遥の頬にキスをした。
ベッドの端に腰掛けると、向かい合わせに遥を座らせた。
「しっかり掴まっていろよ」
遥は首と首をくっつけ、肩にぎゅっと腕を絡め、腰に脚を絡めた。稜而は遥をしっかり抱いて立ち上がる。
「んっ!」
稜而の硬さだけに支えられ、遥は揺さぶられて喘ぐ。
「稜而……っ、深いのん……っ!」
「気持ちいい? 苦しい? 大丈夫?」
優しく問い掛けながら、稜而は遥を抱えて部屋の中を歩き回って振動を与える。
「ああ、稜而ぃ……」
「気持ちよさそう。このままいけば?」
足を止めて強く突き上げると、遥は身体を震わせた。
「んっ、ああ、稜而……っ、稜而っ」
「遥の変態。こんな体位でいくなんて。……俺も少し変態なことをしようかな」
はあ、はあ、と荒い呼吸をしている遥の首にキスをしながら歩いて、窓際に立つ。
「遥、窓の外を見て。向かいのカフェにまだ人がいる。こんな格好でセックスしてるの、見られてるかも」
遥の耳にそっと囁く。
「や、やーん……。お店の中でおしゃべりしてるから、こっちは見ないのん……」
「そう? 試してみようか」
遥を窓際に立たせ、しっかり窓枠を掴まらせると、突き出した尻の狭間へ改めて己を沈めていった。
「見られそうだ……、どうする?」
稜而は興奮で上擦った声を出し、ゆっくり抜き差しをしながら、遥を煽る。
「や、やーん。こっちを見ちゃダメよ……」
「ほら、そんな気持ちよさそうな蕩けた顔して。見られたときにすぐセックスしてるってバレるぞ」
窓に映る遥の顔へ、稜而は笑い掛ける。
「い、いやん。エッチな遥ちゃんは、稜而だけのものなのよー」
稜而は抜き差しを繰り返し、繋ぎ目から沸き起こる快感は蓄積されて、腹の中で暴れ回る。
「あ、もういきたい……、稜而……」
「もう? 興奮したのか? 露出趣味?」
「ち、違うのん。稜而の方が変態なのよー……。ああんっ!」
「そんなエッチな声を出したら、お仕置きだ」
稜而は遥の腰をしっかり掴んで、力強く腰を打ちつける。
「はっ、はあんっ、稜而……っ」
稜而は力の限り遥を穿ち、二人はしばらく駆け上る苦しさに静かに喘いで、ほぼ同時に思いを遂げた。
「愛してるよ、遥」
「愛してるのん、稜而……」
呟いて崩れていく遥の身体を、稜而は熱い手でしっかりと抱き締めた。
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