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第81話*
「了解」
稜而は言われた通り、遥の右の胸の粒を口に含んだ。
「はあっ」
遥は背を浮かせて震えたが、稜而が右の粒を舌先でころころと転がしながら、左の胸の粒も指先でつまむと、そのまま身体を硬直させた。
「いつもより、いくの早くないか? 俺の目論見通りマッサージで緊張が解けて、敏感になったかな」
ほくほくと嬉しそうに呟いて、反対側も平等にと、稜而は遥の左の胸の粒を口に含み、今度はすぐには右の胸の粒を捏ねながら、口の中の粒だけを舌先で転がすように舐めた。
「ン……っ、んっ、んんっ」
遥の鼻にかかった声を聞きながら、感覚の鋭敏な舌先で胸の粒を舐めていると、稜而の身体にも甘い欲が蓄積されていく。
「はっ、ああ、稜而っ!」
遥が遂げさせると、稜而は遥の両膝を持ち上げて濃い紅色の秘所を露わにし、指先で温めたローションを塗り込んだ。
「はっ、ああんっ」
遂げたばかりの敏感な身体に追い討ちの刺激で、遥は泣きそうな声を出す。
「気持ちいい? すごく柔らかくなってる。もう入ってもいいかな?」
揃えた二本の指がするりと飲み込まれるのを確認し、遥が頷くのも確認して、稜而は薄膜で覆った分身を、遥の中へめり込ませた。
遥の中は、とろけたように熱い粘膜がうごめいていて、稜而が侵入するなり絡みついてくる。
「うわっ」
稜而は思わず顎を上げた。
奥へ奥へ絡まる粘膜に誘われて侵入し、根元まで遥に包まれて、稜而は喘ぐ。
「ごめん、止まらないかも知れない……っ」
稜而は遥の脚を抱えながら、夢中になって腰を振った。
「はあんっ、稜而っ! 愛してるのんっ!」
揺さぶられて穿たれて、遥はまた達し、達してもなお突き上げられて、ミルクティ色の髪を振った。
「俺も愛してるっ、遥! 心も身体も全部っ、一生、一緒にいてくれ!」
そう言うとさらに力強く腰を振って、ずり上がる遥を引き戻して深く穿つ。
「はあっ、稜而!」
遥が伸ばした両腕の中へ倒れ込むと、手を離した遥の足は稜而の腰に絡みつき、二人は一つの硬い石のように抱き合って、波の訪れを待った。
「あ、もうダメ……、稜而っ」
「俺も。一緒にいきたい。あ、あ、ああ……っ! はるかっ、遥っ!」
目の前がスパークして身体が勝手に跳ね上がる。腰を貫く快感に背を丸め、歯を食いしばった。
「りょ……じっ!」
「はっ、あっ、遥……っ! ああっ!」
どくどくと白濁が流れ出す間、稜而は無防備な身体を遥に抱かれて過ごし、放出が終わると同時に遥の身体の上に崩れた。
「はあっ、はあっ……。たくさん出た……。はあ……」
肩で息をする稜而の身体を抱きとめて、遥はくすぐったそうに笑う。
「ふふっ、えっちっちーだったのん」
「気持ちよくなれたか?」
遥の熱い頬にキスをすると、遥も稜而の赤い頬にキスをした。
「うん。いっぱい!」
「よかった。……すごい汗だ。運動不足かな」
ふうっと息を吐いて白濁が溜まった薄膜を外して口を縛り、バスローブの端で遥の窄まりと自分の下腹部のぬめりを拭き取る。
いつものように遥の右隣に寝て、左手を遥の首の下へ滑り込ませ、抱き寄せた。遥は少し頭を浮かせ、自分の髪を後ろに流してから、稜而の肩へ頭を乗せて、稜而の腕の中に収まる。
稜而がシーツを手繰り寄せたのをきっかけに、二人でもぞもぞとシーツを掻き寄せて互いの身体を覆い、できあがったシーツの繭の中で二人は改めてキスをした。
「愛してる、遥」
「遥ちゃんも、稜而のことがだーい好き! 愛してるのん!」
ん、と稜而が唇を突き出して催促すると、遥は笑顔で唇を重ねる。
その柔らかな唇の感触に、稜而は遥を強く抱いた。
「ごめん、もう一回、いい?」
「うっそーん!」
白い太腿に硬さを押しつけ、さらに腰を振って擦りつけられて、遥はきゃあきゃあと声を立てて笑った。
素肌に糊のきいたワイシャツ一枚だけを羽織った姿でトイレから戻ってきた遥は、スーツケースを跨いで歩きながら、大きなあくびをした。
「どうした、遥。寝不足か?」
シルバーのネクタイを結びながら、稜而が鏡越しに遥を見る。
「誰のせいだと思ってるのん!」
「俺のせい」
片頬を上げて笑って見せると、鏡越しの遥はべーっと舌を出した。
「神父さんのお話の間に寝ちゃったら、ヤバいのよー!」
「眠くなったら、俺の舌をガムのかわりに噛めばいい」
遥はその言葉に、鏡と稜而の間へ入り込んで、稜而の肩を掴み、口を合わせた。積極的に差し出された舌をたっぷり甘噛みしてから口を離す。透明な糸がすうっと伸びて、遥の指先で拭われた。
「ふふっ、目が覚めたのん。残念ながら、新郎側の参列者と、新婦側の参列者は、通路を挟んで座るのよー。途中で眠くなってもベロは届かないから、今のうちに目を覚ましておかなくちゃなのん」
「なるほど」
「今は、稜而と遥ちゃんの間には、通路って名前の天の川が流れてるけど、結婚式が終わるまでの我慢なのん! それからはずっとずっと一緒にいられるわ! ♪そいねしーて、えいえんーに、だいていーてあーげるー! いいゆめーを、みましょうね、しあわせーなゆめをー
げんじつでもいっしょ♪ 夢も現実も、ずっとずっと一緒なのーん!」
ベッドの上に立って、ミントグリーンにチョコレート色のボーダー柄のボクサーブリーフを両手に持つと、ぐらつきながら左右の足を順番に入れ、ぴょんっと跳ねて腰まで引き上げ、手を離す。ロゴ入りのウエストゴムは音を立てて遥にくっついた。
「ねえ、稜而。ネクタイ結んでー!」
「わかったから、まずはワイシャツを着ろ。さっさと着ないと……食べちゃうぞ!」
「おーいえー! 私を食べてー! EAT ME!」
遥はベッドの上で飛び跳ねた。
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