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行為後疲れて寝てしまった愁の頭を撫でながら煙草に火を付けた。
俺達のことは組の奴らも学校の奴らも知ってるし理解してくれている。
今の俺があるのは愁のおかげだ。
俺は中学2年になってすぐの頃から組の仕事を手伝い始めた。
最初は簡単な危なくない様な事だったが俺が実力を付けていくにつれて仕事も危険な物になっていった。
家の仕事には誇りを持っている。
でも、裏の世界に染まっている心とか、数え切れない程の血を浴びてきた手とか俺は自分自身を好きにはなれなかった。
でも、愁は俺の手を好きだと言う。
俺の全てが好きだと言ってくれる。
俺も愁の全てが好きだ。
「ん…っ千尋…?」
「起こしちまったか?」
「煙草すってるの?」
「悪い、今消す」
「大丈夫…気にしないで。」
綺麗に微笑む愁の頭を撫で上半身を屈めてキスをする。
「千尋、大好きっ…。」
「俺も愛してる。」
お互いに微笑み合いもう一度キスをしようとした時…
「わ〜か〜!!愁さ〜ん!!夜飯です!」
煩い凛月の声に寄ってその行為は止められた。
「凛月…。あいつ後で覚えとけ…」
「あはは、ほら、行こ!お腹空いた!」
服を着て愁に手を引かれて部屋を出る。
手に感じる温もりを俺は一生手放さない。そう改めて強く誓った。
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