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千尋 × 愁 ②

大学は高校とは違い生徒の帰る時間帯もそれぞれだ。大きな仕事が片付いて久しぶりに愁と買い物でもしようかと幹部室を覗いて暇そうにしてた七瀬に運転を頼んで愁の迎えに来た。 校門の近くに愁らしい奴を見かけて七瀬に送ってくれた礼と組に戻っていいと伝え愁の元へ足を進める。愁に近づくと愁の隣には1人の女がいて、仲良さそうに話している。 ふーん、成程な。 少し離れたところで様子を見ていると愁もこっちに気がついたのか俺に駆け寄ってきた。 「迎えにきてくれたの?」 「ああ、ついでにどっかに買い物にでも行こうと思ってな。」 俺がそう言うと嬉しそうにする愁が可愛い。 「愁くん知り合い?」 ふと、声のする方に視線を向けるとさっきの女がいた。 「うん、友達。」 「そっか!」 「じゃあ俺達行くね。また今度」 「うん!ばいばい」 こいつは気づいていないんだろうか、あの女が自分に向ける視線の意味に。 それから近くのモールに行ったり街を歩いたりして組に帰る。愁は大学から一人暮らしを始めたがどちらかというとここにいる時の方が多い。 「さっきのこの子と気にしてる?」 さっきの子というのはあの女の事だろうか。 「あの子は何度か講義が一緒になって仲良くなっただけだよ?」 「別に気にしてねえよ。それに、いいんだぞ?お前は元々男が好きだった訳じゃねえんだ抱きたい時だってあるだろうし?」 愁があの子の事をどうも思ってねえのは知ってるし関係を疑っているわけじゃない。 「だからっ……「たださ、あれだ…」」 反論しようとした愁の言葉を俺は遮った。 「本気で好きにはなるなよ?」 「…………もし、本気で好きになったらどうする?」 本気で好きになったら? そんなの決まってる…… 「殺すな。多分…いや、絶対」 俺がこの手で。 そうすればこいつは一生俺の物になる。 なんて歪んでいるんだろう。 「もし本気で好きになったら殺すぞ?」 「はぁ…はいはい。」 てっきり怒るか冗談辞めろと笑うかと思っていたから愁の呆れた感じにちょっと驚いた。 「千尋ってさ、本当に不器用だよね。俺が千尋以外とやると思う?俺は千尋の帰ってくる場所なんだから、その場所がふらふらしてちゃ駄目でしょ?」 愁は強い。 俺なんかよりもずっと強い。 「それにまだ殺されたくないしね」 そう付け加えた時の愁の顔を俺は忘れられないだろう。 ああ、これでまた君に溺れていく。

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